計画研究
「ユビキチンコード」は、膨大な情報を内含した情報提示システムを形成している。本課題では、BAG6を中核とした新しいユビキチン識別タンパク質群の解析を推進している。研究代表者らはこれまで、BAG6 複合体が、ユビキチン化された新合成不良タンパク質の認識と代謝に必須の働きを有することを突き止めた。BAG6 複合体は、神経変性疾患の原因となるタンパク質凝集の防御、あるいはミスアッセンブルされた膜タンパク質の選択的除去など、ユビキチン化反応と共役した細胞内タンパク質品質管理に必須の役割を有していることが、研究代表者らの研究で明らかにされている。一方、BAG6 複合体にはポリユビキチン化基質認識の多様性が存在することを我々は見出しているが、その全容は未だ明らかではなかった。本課題では、BAG6 複合体に内含される基質識別機構の解明を進め、BAG6と連動するユビキチン認識マシナリーの機能・構造連関の全解明を目指した。我々の本年度の研究により、BAG6が 新合成不良タンパク質をユビキチン経路にリクルートするために必要な新しいユビキチン関連領域を同定し、その詳細な構造と性質を解明した(田中ら、FEBS J. 2016)。さらに、我々が最近同定したUBAドメインタンパクが、BAG6と共同して、ミスアッセンブルされたユビキチン化不良膜タンパク質を認識し、生合成過程での運命を決定することを発見した(鈴木と川原、EMBO Rep., 2016)。また、情報伝達に関わる新しいユビキチンリガーゼシステムを見出した(八巻ら、Mol. Cell. Biochem. 2016)。これら新しく解明したBAG6基質識別サブユニットの構造情報を最大限に生かし、BAG6複合体による新合成不良タンパク質認識の全体像を完全解明にむけて本研究を推進した結果、BAG6複合体が関与するユビキチンコード依存的制御システムの全解明に大きな進展を残すことができた。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (7件) 図書 (1件) 備考 (2件)
EMBO Rep.
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Mol. Cell. Biochem.
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doi:10.1007/s11010-015-2643-4
J. Biol. Chem.
巻: 291 ページ: 4649-4657
doi: 10.1074/jbc.M115.692871
ユビキチンネオバイオロジーニュースレターThe World of UBIQUITIN
巻: 4 ページ: 60-64
http://www.comp.tmu.ac.jp/saisei/index.html
http://www.biol.se.tmu.ac.jp/labo.asp?ID=celche