計画研究
ユビキチン鎖により制御される様々な生命現象の反応機構を構造生物学的な手法を用いて解析した。1. ユビキチン鎖の形成を担うユビキチンリガーゼの研究:①糖タンパク質の糖鎖を認識しユビキチンを付加するFbs1とアミノ酸配列相同性が52%であるにもかかわらず、糖鎖と結合しないFBG3の立体構造を比較し、ループ領域のアミノ酸を入れ替えることにより、糖鎖結合能をなくしたFbs1変異体を作製し、X線結晶構造解析により、アミノ酸配列と糖鎖結合構造形成の相関を解析した。②酸化ストレス応答に関わるユビキチンリガーゼKeap1の基質認識ドメインと阻害剤に関する研究を行い、Keap1の基質Nrf2とp62のうちp62の結合のみを阻害する化合物を見出した。さらに、Keap1とp62結合阻害化合物の複合体を結晶化し、X線結晶構造解析を行った。2. 脱ユビキチン化酵素の研究:クッシング病の原因となるUSP8の活性を制御する14-3-3タンパク質とUSP8の14-3-3結合部位の複合体結晶化に成功した。3. ユビキチン系を制御する病原性細菌エフェクタータンパク質の研究:宿主細胞の炎症性サイトカイン遺伝子の発現に必要な転写因子NF-κBの活性化に関わるNEMO(NF-kappa-B essential modulator)をユビキチン化修飾し、分解へと導く赤痢菌ユビキチンリガーゼIpaH9.8のNEMO認識ドメインの立体構造を決定し、構造既知のIpaHファミリータンパク質IpaH3と構造を比較することにより、IpaH9.8の有する基質認識特異性を考察した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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