現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の計画において、 特に、Odf2関連アペンデージ蛋白質の機能解析についての進展は大きかった。Odf2を欠失したOdf2ノックアウト(KO)F9細胞はDA, SAを作ることができないと示唆されている(Ishikawa et al., Nat. Cell Biol. 2005)。今回、本申請研究では、Odf2 KO-F9細胞に対して種々のOdf2変異遺伝子を再導入することで、複数種の変異Odf2発現細胞を作製した。すると、一部の細胞では繊毛形成が確認され、他の細胞では繊毛形成が見られなかった。この結果は、繊毛形成に必須なOdf2領域の存在を示唆した。 さらに、これらの細胞の基底小体の構造を透過型電子顕微鏡で観察したところ、DA, SAを欠失しているものが確認された。超高圧電子顕微鏡を用いることで、基底小体を三次元的に解析すると、Odf2の遺伝子に応じて3種類の基底小体が現れ、繊毛形成にはDAの存在が必須であることが分かった。この結果から、DAの機能は繊毛形成の制御であることが示唆された。 次に、SAの機能を調べるため、基底小体周囲に分布している微小管に注目した。一般細胞において、基底小体及び中心体は微小管形成中心(Microtubules organizing center: MTOC)として機能し、その付近には多くの微小管が分布していることが知られている。これまでの私どもの解析から、基底小体を起点をとした微小管ネットワークの構築についてはOdf2欠損の影響を受けないことがわかっていたため(Ishikawa et al., Nat. Cell Biol. 2005)、すでに形成された微小管ネットワークの安定性について検討を行いました。それぞれの細胞における微小管の安定性を解析したところ、SAを欠失した細胞は微小管の脱重合ストレスに対して脆弱であることが分かった。この結果から、SAの機能は基底小体周辺の微小管の安定化であることがわかった
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