計画研究
微小管形成中心として機能する中心小体は真核生物において進化的に保存された細胞小器官であり、細胞分裂、染色体分配制御に重要である。中心小体はカートホイール構造を基底部に有する極小(直径~100nm)の複雑な構造体である。このスケールは光学顕微鏡の理論限界である200nm以下であり、その構築過程を解析することが非常に困難であった。我々は最新の超解像顕微鏡技術を解析に導入し、これまでに~30nmの分解能を達成している。今年度は、ヒト培養細胞における中心小体構築の初期過程、特にカートホイール構造の形成過程の解析に焦点をおき、超解像、且つ時系列に沿った中心小体の構築過程を観察することに成功した。さらに、無細胞蛋白質合成法、Lipid Monolayer複合体形成法、構造生物学的解析などの多彩で独創的な手法を融合することで、進化的に保存された因子であるHsSAS-6が9回対称のリング様の複合体を形成し、カートホイール構造の中心部のコンポーネントとして重要であることを明らかにした。さらに、このカートホイール構造が進化的に保存された因子であるCep135をリクルートすることにより、細胞内で安定化され、中心小体の伸長を促進することを見出した。これらの結果は、中心小体という複雑な細胞内構造体が段階的に構築される発端となる分子機構を示すものである。これら一連の結果は、3報の論文として現在取りまとめ中であり、一報は既に発表済みである。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)
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