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2014 年度 実績報告書

シリア・中心体系を介する情報フローによる体の左右の決定

計画研究

研究領域シリア・中心体系による生体情報フローの制御
研究課題/領域番号 24113004
研究機関大阪大学

研究代表者

濱田 博司  大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (00208589)

研究期間 (年度) 2012-06-28 – 2017-03-31
キーワード発現制御 / 発生・分化 / 左右非対称性 / 繊毛 / 水流
研究実績の概要

1) ノード細胞へ前後の極性を与えている位置情報の実体:ノードの前側で非対称に発現する、Sfrp (Wnt5a/5bのinhibitorとして働く)の役割を調べた。Sfrp1/2/5すべてを欠損するマウス胚では、基底小体の位置が全くランダムに変化し、本来ならノード細胞の前側に局在すべきVangl1タンパクの局在もランダムになり,水流の方向も乱れていた。従ってノードの尾側で発現するWnt5a/5bと、反対方向で発現するSfrpが協力して、ノード細胞に極性を与えていることが判った。
2) ノードの繊毛が時計方向に回転する仕組み:繊毛の中心部に存在するradial spokeという構造の役割を調べるために、その構成蛋白質であるRsph4a、Rsph9を欠損するマウスを作成した。
3) 動かない繊毛が水流を感知する機構:Ca2+を感知するセンサー蛋白質(GCaMP6など)を、ノード脇の動かない繊毛にターゲットしたトランスジェニックマウスを用いて,水流に依存して動かない繊毛に入力するCa2+を観察することに成功した。
4) シリア形成・中心体複製における、Qilin(Cluap1)の役割:Qilin(Cluap1)を欠損すると,r-Tubulin複合体が細胞質で異所的に形成されることが判った。また繊毛が形成される際に、この蛋白質は特殊な合成~運搬経路をたどることを示唆するデータを得た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

『動かない繊毛が水流を感知する機構』については、すべての(約200本)ノード不動繊毛を介するCa2+を、経時的に迅速に観察する顕微鏡システムの構築に苦労したが,目的に合致する装置がH26年度末に出来上がった。一方で,繊毛形成時のQilin(Cluap1)蛋白質が、予想外の不思議な挙動をとることが判り,今後に大きな展開を見せる可能性を見せた。残りのプロジェクトは、大きな問題なく順調に進んでいる。

今後の研究の推進方策

1) ノード細胞へ前後の極性を与えている位置情報の実体:Wnt5a/5b活性の前<後という勾配が、ノード細胞を極性化していることを検証する。種々の遺伝学的な手法を用いて、この勾配を攪乱したときの、基底小体の位置に与える効果を調べる。
2) ノードの繊毛が時計方向に回転する仕組み:radial spokeの構成蛋白質であるRsph4a、Rsph9を欠損するマウスにおける、種々の繊毛(ノード、気道、脳室、精子など)の運動性と運動パターンを調べる。
3) 動かない繊毛が水流を感知する機構:Ca2+センサー蛋白質(GCaMP6など)が不動繊毛に局在するトランスジェニックマウスを用いて,Ca2+が入力する機構を調べる。とくに、水流が生じる機械的な力に反応している可能性を研究する。
4) シリア形成・中心体複製における、Cluap1の役割:Cluap1を欠損した時にr-Tubulin複合体が異所的に形成される機構を明らかにする。また繊毛形成時における、Qilin蛋白質の合成~運搬経路を明らかにする。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2015 2014 その他

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 謝辞記載あり 6件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] RBM14 prevents assembly of centriolar protein complexes and maintains mitotic spindle integrity2015

    • 著者名/発表者名
      Shiratsuchi, G., Takaoka, K., Ashikawa, T., Hamada H. and Kitagawa, D.
    • 雑誌名

      EMBO J.

      巻: 34 ページ: 97-114

    • DOI

      Doi: 10.15252/emboj.201488979

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Situs inversus and ciliary abnormalities: 20 years later, what is the connection?2015

    • 著者名/発表者名
      Pennekamp, P., Menchen, T., Dworniczak, B. and Hamada, H.
    • 雑誌名

      Cilia

      巻: 4 ページ: 1

    • DOI

      doi: 10.1186/s13630-014-0010-9

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] TGFβ signaling in establishing left-right asymmetry2014

    • 著者名/発表者名
      Shiratori, H. and Hamada, H.
    • 雑誌名

      Seminar in Cell & Dev. Biol.

      巻: 32 ページ: 80-84

    • DOI

      doi: 10.1016/j.semcdb.2014.03.029

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Self-regulated left-right asymmetric expression of Pitx2c in the developing limb.2014

    • 著者名/発表者名
      Shiratori, H., Yashiro, Iwai, N., Oki, S., Ikawa, Y., Kanata, K., and Hamada, H.
    • 雑誌名

      Dev. Biol.

      巻: 395 ページ: 331-341

    • DOI

      doi: 10.1016/j.ydbio.2014.09.002

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Mechanisms of left-right asymmetry and patterning: Driver, mediator and responder.2014

    • 著者名/発表者名
      Hamada,H. and Tam, P.P. L.
    • 雑誌名

      F1000 Prime Reports

      巻: 6 ページ: 110

    • DOI

      doi: 10.12703/P6-110

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] The origin of cellular asymmetry in pre-implantation mouse embryo: a hypothesis.2014

    • 著者名/発表者名
      Takaoka, K. and Hamada, H.
    • 雑誌名

      Philos. Trans. Roy. Soc. B.

      巻: 369 ページ: 1657

    • DOI

      doi: 10.1098/rstb.2013.0536

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Role of motile and immotile cilia in left-right asymmetry2015

    • 著者名/発表者名
      Hamada, H.
    • 学会等名
      Keystone Symposia (Heart Disease and Regeneration: Insights from Development)
    • 発表場所
      Copper Mountain, Colorado, USA
    • 年月日
      2015-03-01 – 2015-03-06
    • 招待講演
  • [学会発表] Role of motile and immotile cilia in left-right symmetry breaking2015

    • 著者名/発表者名
      Hamada, H.
    • 学会等名
      Gordon Research Conference (CILIA, MUCUS & MUCOCILIARY INTERACTIONS)
    • 発表場所
      Galveston, Texas, USA
    • 年月日
      2015-02-08 – 2015-02-12
    • 招待講演
  • [備考] 『新学術領域研究』シリア・中心体系による生体情報フローの制御

    • URL

      http://www.nig.ac.jp/labs/NigPrjct/cilia-centrosome/index.html

  • [備考] Hamada lab

    • URL

      http://www.fbs.osaka-u.ac.jp/labs/hamada/

URL: 

公開日: 2016-06-01  

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