計画研究
1. ノード細胞へ前後の極性を与えている位置情報の実体:Wnt inhibitorであり、ノードの前側で発現するSfrp1,2,5のすべてを欠損すると、ノードの基底小体の位置が、後ろにシフトしなかった。また、ノードの後側で発現するWnt5aを胚全体で均一に発現させる・あるいはノードの前後で均一に発現させると、基底小体が細胞の中央に留まった。以上より、ノードを中心に非対称かつ反対の方向に発現するWnt5a/5bとSfrp1/2/5が、Wnt5活性の勾配をつくり、これが基底小体を細胞の後側へと位置させている事が判った。2. 基底小体が細胞の後側へと移動する機構:細胞内極性因子であるPrickle1,2を欠損するマウスでは,基底小体がランダムに位置する事が判った。3. ノード繊毛が回転運動する理由:ノード繊毛は、他の動く繊毛と異なり、回転運動をする。構造的には、ノード繊毛は、中央の微小管やradial spokeを欠く。そこで、Radial spokeの因子(Rsph4a, Rsph9)を欠損するマウスを作成したところ,本来は波打ち運動する繊毛が、回転運動をするようになった。以上より、radial spokeが無い事が、回転運動を可能としている一因である事が判った。4. アンテナの役割をする不動繊毛が水流を感知する機構:繊毛に局在する種々のCa2+センサー蛋白質をノードで発現するトランスジェニックマウスを作成し、それを用いて繊毛から流入するCa2+の検出を試みた。その結果,左右非対称なCa2+のoscillationを検出した。
2: おおむね順調に進展している
『動かない繊毛が水流を感知する機構』については、繊毛から流入するCa2+を観察できる系ができ、これを利用してノードを観察した結果,左右非対称なCa2+のoscillationを検出する事ができた。これにより、大きく進むと期待できる。残りのプロジェクトも、概ね順調に進んでいる。
1. ノード細胞へ前後の極性を与えている位置情報の実体が、Wnt5aの勾配である事を、キメラ解析などで検証する。2. 細胞内極性因子Prickle1,2が、細胞間相互作用を介して働いているかどうかを、キメラ解析で検証する。3. ヒトの遺伝学的データを利用して、ノードの繊毛が特異的に運動を失う変異を探索し、変異マウスを作成する。4. 繊毛から流入するCa2+のoscillationを正確に観察し、左右非対称性の有無の再確認、水流への依存性を確認する。そのうえで、機械的な刺激に反応するか否かを、光ピンセットを用いて検証する。5. 繊毛形成に必須な因子であるQilinがの蛋白質やmRNAが、細胞内で特徴的な局在をする事が判ったので,その意義を検証する。6. 他の動く繊毛と比較して、ノード繊毛に特徴的な構造を、TEMなどを用いて探索する。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 謝辞記載あり 4件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 備考 (2件)
J. Biol. Chem.
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
Dev Cell
巻: 35 ページ: 236-246
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http://www.cdb.riken.jp/research/laboratory/hamada.html