計画研究
本研究課題では、中心体・一次シリアによる細胞周期チェックポイント制御機構の解明に向けて、トリコプレイン及び、その類縁タンパク質群からアプローチしている。昨年度、トリコプレインのユビキチン化酵素(E3リガーゼ)の候補としてKCTD17を同定した。当該年度では、トリコプレインとKCTD17の関係を詳細に解析した結果、KCTD17はCul3及びRbx1と複合体(CRL3-KCTD17複合体)を形成して、トリコプレインをポリユビキチン化することをin-vitro及びin-vivoで証明した。さらに、CRL3-KCTD17が機能欠失した細胞では、トリコプレインの分解が起こらないため一次シリアの形成が著しく抑制されることも示した。本研究により、一次シリアの制御にユビキチン・プロテアソーム系が必要不可欠であることが明らかとなった。一方、昨年度、トリコプレインの類縁タンパク質群より一次シリア形成抑制因子の候補としてNdel1を同定した。当該年度ではまず一次シリア形成時のNdel1の挙動を調べた。Ndel1は血清除去後、一次シリアの形成過程で一過性に総タンパク量及び中心体局在が減少した。そこで、Ndel1を過剰発現したところ、血清飢餓条件下で一次シリア形成が抑制された。この際、トリコプレインの分解も抑制されていた。また、Ndel1のノックダウンによる一次シリア形成はKCTD17のノックダウンやトリコプレインの過剰発現によってキャンセルされたことから、Ndel1はトリコプレインの上流で一次シリア形成を抑制することが示唆された。
2: おおむね順調に進展している
一次シリアによる細胞周期制御機構について、トリコプレイン等の解析が予定通り進んでいると考えられるから。
当該年度に我々は、CRL3-KCTD17によるトリコプレインのユビキチン化が一次シリアの形成に必要不可欠であることを明らかにした。今後、ユビチキン・プロテアソーム系による一次シリア制御を包括的に解明するため、脱ユビキチン化酵素による一次シリア制御の解析を進める。これまでに網羅的スクリーニングによって、一次シリアの形成を抑制する脱ユビキチン化酵素を数種類同定しており、さらに詳細な分子機構を明らかにしていく。Ndel1については、Ndel1の過剰発現によって一次シリア形成がどの段階で止まっているかを電子顕微鏡などで解析し、これまでの知見と合わせてNdel1による一次シリア形成抑制の分子機構を明らかにしていく。また、Ndel1が一次シリアの位置決定に機能することが示唆されたため、この機能を確認するとともにその分子機構を明らかにしていく。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 謝辞記載あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)
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