計画研究
中心体は、細胞分裂期において染色体の分離・分配を制御し、静止期においては一次シリアを構成する基底小体として働くことが知られている。多細胞生物において、細胞は、内部環境(中心体など)から発生する情報と一次シリアや細胞間接着装置などを介して得た外部環境からの情報を統合して、その細胞周期チェックポイントを制御し、秩序だった増殖と分化を行い、巧みに組織や器官を形成・維持していると考えられる。本研究課題では、一次シリアの形成メカニズムを詳らかにし、中心体・一次シリアと細胞周期のダイナミックな制御連関を明らかにすることを目指し研究を進めてきた。本研究では、主に以下のことを明らかにした。(1)血清飢餓による一次シリアの形成誘導には、シリア形成の抑制因子であるトリコプレインがユビキチン・プロテアソーム依存的に蛋白質分解されることが必要不可欠であること(2)トリコプレインのユビキチン化E3リガーゼとしてCRL3-KCTD17が、分解を制御する因子としてNdel1が働くこと、(3)増殖細胞においては、EGF受容体によってリン酸化/活性化されたUSP8脱ユビキチン化酵素がトリコプレインの蛋白質レベルを安定化して一次シリアの形成を抑制していること、(4)一次シリアを人為的に形成させると増殖条件下にも関わらず細胞周期が停止すること、(5)これらの一次シリア制御因子の遺伝子改変動物(マウスやゼブラフィッシュ)ではシリアの形成異常による症状(シリア病)が観察されること。これらの成果は、ユビキチン・プロテアソーム蛋白質分解系が一次シリアの形成制御に重要であることを明確に示した世界初の発見であり、ユビキチン・プロテアソーム系によるシリア制御機構が癌細胞増殖の分子標的となることを強く示唆している。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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