計画研究
微小管は細胞骨格として細胞の形態維持、モータータンパンク質のレールとして細胞内物質輸送に重要な役割を果たしている。特に神経細胞においては微小管制やモータータンパンク質の制御因子の変異はさまざまな中枢神経系の形成不全や神経変性疾患の原因となっている。我々は滑脳症は神経細胞の遊走障害によって起こる中枢神経系の形成不全である滑脳症の研究に取り組んできた。滑脳症の原因遺伝子・LIS1はモータータンパンク質である細胞質ダイニンの制御因子であり、細胞質ダイニンを微小管上に固定する機能がることを明らかにした(Toba and Yamada et al. EMBO J. 2008)。細胞質ダイニンは微小管のマイナス端に向かうモータータンパク質であるが、LIS1は微小管-細胞質ダイニン-LIS1の複合体を形成させ、細胞質ダイニンをアイドリング状態にする。この複合体がキネシンによって微小管のプラス端に運ばれることを証明した。さらにこの細胞質ダイニンの順行性の運搬に必要な微小管の形成にアルファシヌクレイン必須であることを突き止めた。特に、我々はin vitro再構成実験からアルファシヌクレインが微小管の中でも従来の細胞骨格としての微小管とは異なりプロトフィラメント14の非定型微小管に選択的に結合することを発見した。カタニンP80は滑脳症・小脳症の原因遺伝子であるが、カタニンP80は細胞質ダイニンを微小管上にアイドリング状態にする機能があり、NuMAとともに微小管を中心体に集積させる機能があることを明らかにした。さらに神経幹細胞の分裂、神経細胞遊走における微小管ネットワークの再編においてカタニンP80が重要な役割を果たしており、カタニンP80の変異がどのようなメカニズムで滑脳症・小脳症を引き起こすか解明した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Sci Rep.
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10.1038/srep39902.
Cereb Cortex.
10.1093/cercor/bhw201