計画研究
1.二次細胞壁形成のオミクス解析:道管分化のマスター転写因子であるVND7の下流で展開する二次細胞壁形成について、転写ネットワークの調和システムの解析に取り組んだ。二次細胞壁形成のマスター因子VND7がリン酸化による活性制御を受けていることから、VND7のリン酸化に関わるキナーゼの探索を行い、MAPキナーゼの関与を示唆するデータを得た。また、理化学研究所・平井優美博士らとの共同研究により二次細胞壁形成過程における、メタボローム解析を開始した。さらに、細胞壁成分のメタボローム解析については、理化学研究所・大谷美沙都博士(現、奈良先端大・助教)らと熱分解GC-MS、NMR、TG/DTA解析、糖鎖分析のシステムを構築した。2.一次細胞壁形成のオミクス解析:プロトプラストからの細胞壁再生過程の詳細なトランスクリプトーム解析を進め、興味深い遺伝子発現変動を見出した。プロテオーム解析については、二次細胞壁形成をモデルとしてサンプル調製などの実験系構築を進めた。また、プロトプラストへの一過的な遺伝子導入系について検討した。さらに、セルロース合成酵素などの一次細胞壁関連遺伝子の発現を制御するマスター因子「ERF転写因子」の詳細な機能解析を行った。3.細胞壁形成転写ネットワークの進化:コケ植物のヒメツリガネゴケとオオミズゴケ、裸子植物のテーダマツを対象に研究を進めて、ヒメツリガネゴケの成果をScience誌に発表した。また、シダ植物(イヌカタヒバやリチャードミズワラビ)を対象とした研究について検討を始めた。
2: おおむね順調に進展している
二次細胞壁形成のオミクス解析については、リン酸化に関わる候補キナーゼとしてMAPキナーゼを同定した。さらに、メタボローム解析に着手できた。一次細胞壁形成に関しては、本格的なプロテオーム解析はできなかった。細胞壁形成転写ネットワークの進化については、ヒメツリガネゴケの成果を発表した。オオミズゴケについては、マスター転写因子の候補が得られた。以上のことから、おおむね順調に進展していると考えている。
1.二次細胞壁形成のオミクス解析:計画通り、リン酸化タンパク質プロテオーム解析を進めるとともに、本格的にsub-cellularレベルのプロテオーム解析を行う。また、メタボローム解析については、フレックス解析も念頭に置いた研究を進める。2.一次細胞壁形成のオミクス解析:計画通りの研究を展開する。一次細胞壁形成のメカニズムについては候補遺伝子群の逆遺伝学解析を行う。また、プロテオーム解析に着手するとともにまた、一次細胞壁形成のマスター因子「ERF転写因子」の機能解析を完了する。3.細胞壁形成転写ネットワークの進化:計画通りに研究を推進する。とくにシダ植物を対象とした解析と通水細胞における細胞壁分解の機構にも新たにアプローチする。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (11件) (うち招待講演 3件)
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