計画研究
シロイヌナズナの一次細胞壁を合成するセルロース合成装置複合体が,どこでいつ集合するのかを明らかにするため,各サブユニットを異なる蛍光タンパク質でラベルした形質転換植物を作成した.CESA3とCESA6を同時に可視化した植物体を,超解像顕微鏡を用いて観察したところ,これらが共局在する様子が観察された.また,培地中の糖濃度に応じて,CESA6の量が変動することも見いだされた.セルロース合成酵素複合体の細胞内での輸送におけるイノシトールリン脂質の役割を,阻害剤を用いた解析により検証した.PI3Kの阻害剤であるLY294002とPI4Kの阻害剤であるPAOが,CESA3の輸送にどのような影響を及ぼすかを調べた結果,LY294002がCESA3のゴルジ体から細胞膜への輸送を,PAOがCESA3のエンドサイトーシスを阻害することが明らかとなった.このことから,PI3PとPI4Pが,CESA3の輸送の異なるステップで必要であることが明らかとなった.vps9a-2変異体における細胞壁の異常についても引き続き解析を行った.アポプラスト中に分泌されているタンパク質を回収し,質量分析による同定を行ったところ,複数のXTHタンパク質の分泌量が,増加または減少していることが明らかとなった.この増減は,転写レベルでの発現変動に起因していることも突き止めた.このことから,細胞壁の異常が,転写レベルでの細胞壁修復応答を誘導する可能性が示唆された.
2: おおむね順調に進展している
研究計画に沿って順調に研究が進行している.
引き続き,バイオイメージングや生化学的手法を駆使し,細胞壁と膜交通の関連を解析してゆく.ゼニゴケを用いた研究も,並行して進める.
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 6件、 謝辞記載あり 6件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 7件)
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