計画研究
昨年度に引き続き,細胞壁に異常を持つsyp132変異体の解析を進めた.SYP132は細胞膜で機能する膜融合の実行因子であり,syp132変異体はカロースの異常蓄積という興味深い表現型を示す.SYP132は通常の生育条件下では細胞膜に一様に局在するが,ショ糖を含まない培地へ移植すると細胞膜上の粒状の構造に集積することが見いだされた.この粒状の構造に隣接してカロースの蓄積が見られ,分泌小胞の繋留に関わるExo84も粒状構造と部分的に共局在した.さらに,syp132変異体の細胞内では,細胞膜タンパク質の輸送異常も観察された.これらのことから,SYP132が環境変化に応じた細胞壁成分や細胞膜タンパク質の輸送制御に関与していることが示された.ゼニゴケを用いた進化細胞生物学的な研究においても進展があった.ゼニゴケには4つのSYP1グループのメンバーが存在する.このうちSYP13メンバーは細胞膜に一様に局在するものの,分裂細胞における細胞板への局在は観察されなかった.一方,SYP12メンバーについては,その一つが細胞板に局在することが明らかとなった.このSYP12メンバーをゲノム編集により破壊すると細胞板形成が異常となることから,細胞板の形成に特定のSYP12メンバーが寄与していることが示された.さらに,別のSYP12メンバーが,苔類に特異的に存在するオルガネラである油体の膜に局在し,その形成に関与することも明らかとなった.これらのことから,SYP1メンバーの機能分化が,細胞壁や細胞板の構築及びオルガネラの新規獲得に深く関与していることが明らかとなった.
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 2件、 査読あり 7件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (16件) (うち国際学会 6件、 招待講演 10件) 図書 (2件)
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