研究概要 |
(1)組織癒合の解析: 初期から中期において,オーキシンおよびANAC071 (転写制御因子)によって発現が誘導される細胞壁関連遺伝子:傷ついたシロイヌナズナ花茎の組織癒合過程では,傷の上側に溜まったオーキシンによってオーキシン情報伝達因子(ARF6 とARF8)を介して誘導されたANAC071がXyloglucan endotransglucosylase/hydrolase (XTH20/XTH19)の遺伝子発現を誘導し,これらのXTHが髄の細胞分裂に必須であることを明らかにした(Plant Biotech. in press, 2014, Plant J. under revision:東北大・西谷・,横山との共同研究)。また,Fucosyltransferase (FUT3)もANAC071 によって発現が制御されることが判明し,現在,多重欠損変異体の作出を進めている。 初期から中期において,ジャスモン酸およびRAP2.6L(転写制御因子)によって発現が誘導される細胞壁関連遺伝子:Expansin (EXP10)の発現はジャスモン酸によって誘導され,ジャスモン酸合成酵素(DAD)の発現にはARF6 /ARF8を介したオーキシン情報伝達が必要であることが判明した(Plant Biotech. in press, 2014)。現在,Expansinの多重遺伝子抑制RNAi形質転換体の作出を進めている。また,RAP2.6L によって発現が誘導されると考えられるPolygalacturonase やリセプターキナーゼの多重欠損変異体の作出を進めている。 (2)器官間相互作用の解析: シロイヌナズナにおいて地上部のジベレリンに応答して根で発現する遺伝子として鉄輸送関連遺伝子(IRT1, FRO2)(Plant Cell Physiol. in press, 2014))およびペプチドホルモン遺伝子(CLE6)を同定し,その発現制御機構を明らかにした(東北大・山口との共同研究)。さらに、根の中心柱で生産されたCLE6がおそらく導管液を介して地上部に輸送され,ジベレリンに応答した地上部の成長促進に寄与していることが明らかとなった(Plant J. in press, 2014:熊本大・澤との共同研究)。
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