計画研究
本計画研究では表層微小管をはじめとする細胞骨格に着目し、細胞壁の構造変化との関係を定量的な観点から検証を実施した。(1)GFP-tubulin発現株を用いてシロイヌナズナ子葉表皮組織における表層微小管を撮像し、垂層方向の表層微小管の密度を定量評価した。その結果、細胞の三又部では細胞湾曲部に比べて微小管が有意に疎らになることが判明した。また、セルラーゼ処理により細胞伸長方向に対して垂直な向きに組織化された微小管が高頻度に出現すること、微小管の組織化に関わるRIC1欠損変異体ではセルラーゼ処理による細胞壁湾曲の低減が起こりにくいこと、などを見出すとともに力学的不安定現象に基づいた細胞壁の湾曲機構に関するモデルを提案した(Higaki et al. 2017 Plant Cell Physiology)。(2)GFP-PATROL1とRFP-tubulinを発現するシロイヌナズナの観察から、トランケート型PATROL1をタバコBY-2細胞に異種発現させて局在を解析したところ細胞膜直下の局在に関わる責任領域がN末端領域に含まれる可能性が推定された。また、細胞に力学ストレスを付与した場合、GFP-PATROL1がドット状構造から表層微小管に局在が変化することを見出した。(3) 宿主シロイヌナズナのアクチン脱重合因子ADF の変異体が、うどんこ病菌に対して強い抵抗性を示すことを見出した。adf 変異体においては、うどんこ病菌が宿主の防御応答を抑制できず、感染細胞が細胞死を起こす。ADF はアクチン繊維の構造や動態を制御する因子として知られているが、adf 変異体はアクチン繊維の構造に大きな変化を示さなかった。相補解析の結果、うどんこ病菌の感染には、ADF の細胞核局在が重要であることを見出した(Inada et al. 2016 Plant Physiology)。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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Protoplasma
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