研究領域 | ウイルス感染現象における宿主細胞コンピテンシーの分子基盤 |
研究課題/領域番号 |
24115003
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
脇田 隆字 国立感染症研究所, ウイルス第二部, 部長 (40280789)
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研究分担者 |
竹安 邦夫 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (40135695)
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研究期間 (年度) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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キーワード | プラス鎖RNAウイルス / HCV / 宿主 / 原子間力顕微鏡 |
研究実績の概要 |
本計画研究では「プラス鎖RNAウイルスの複製におけるウイルスと宿主の攻防」についてC型肝炎ウイルス(HCV)をモデルとして解析している。HCVなどのプラス鎖RNAウイルスはウイルスゲノムが短く、コードされるウイルス遺伝子数は限られており、ウイルス複製増殖や病原性発現には、ウイルスタンパク質が多機能を有するとともに、多くの宿主因子を動員する必要がある。従って、HCVは、感染体と宿主の攻防を研究するために適したモデルであるといえる。網羅的な手法で見出した宿主因子について、ウイルス複製、粒子形成、成熟化における役割について解析していく。本年度はNS5A発現細胞からpull-down法によりNS5Aに結合する膜蛋白を精製し, プロテオーム解析、およびsiRNA screeningを行ったところ,翻訳および複製過程に関与している蛋白としてELVL1を見出し、そのメカニズムについて解析した。さらに、染体ゲノムの基本構造の解析、感染によって引き起こされる宿主細胞のゲノム構造の変化の解析、感染によって引き起こされる宿主細胞の核内構造体の変化の解析、感染体因子と宿主因子の分子競合の動態解析を進めた。スペルミジンでコートした雲母片を基板に用いることで、「9Kbの1本鎖RNA(HCV)」全長の可視化に成功した。現在、その構造をモデル化中である。一方、2本鎖RNAの可視化はDNAの可視化と同様、非常に簡単であった。「MDA5と2本鎖RNA(14.8Kbpエンドーナウイルス)との相互作用」について、藤田班(細胞内ウイルス防御系とウイルスの攻防)との共同研究を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
HCVの複製および翻訳に重要な宿主因子を同定しその解析を進めることができた。また、“RNAを見る”ための技術開発(原子間力顕微鏡下で1本鎖RNAを可視化する)の最大の問題点は、「1本鎖RNAを如何に基板(通常は劈開した雲母片)上に吸着させるか」であり、さらに「1本鎖RNAの本来の高次構造を如何に保つか」であった。この点をある程度克服し、技術を現実的なものとした。
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今後の研究の推進方策 |
24年度テーマを継続する。ウイルス感染細胞における宿主の変化を中心に解析をすすめる。 いくつかのウイルスタンパク質は宿主細胞核の核小体に移行する。核小体を単離する技術を獲得しているので、この技術を用いて感染宿主細胞の核小体の構造、硬さの解析を行う。
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