計画研究
プラス鎖RNAウイルスは複製複合体を含む膜小胞を形成しその中で複製することが知られているが、その形成メカニズムについては不明である。我々はこれまでに、プロテオーム解析およびsiRNAスクリーニングにて、NS4B結合膜タンパクとしてPREBとSURF4を見出した。PREBはCOPIIを介した小胞体輸送に関与するタンパクとして知られている。HCV感染に伴いin vitroおよびin vivoでPREB発現の増加を認め、PREBはHCV複製複合体を含む膜小胞の形成・維持に重要な役割を果たしている。SURF4はCOPIを介した小胞体輸送に関与するタンパクで、HCV複製の場と考えられている界面活性剤不溶性分画に存在して、プラス鎖RNAウイルスの複製複合体を含む膜小胞の形成・維持に重要な役割を果たしている。さらに、COPIIおよびCOPI関連タンパクのSec23, Sec24, Sec13, Sec31, SAR1, Sec16, RAB1, CSNK1のHCV複製における役割を解析した。竹安分担者は感染体ゲノム-タンパク質複合体のナノメートルレベルの構造および感染体ゲノムの細胞内動態解析を担当した。1kb以上のRNA分子の構造解析は技術的にこれまで困難だったが、1本鎖RNAを基板(通常は劈開した雲母片)上に吸着させ、1本鎖RNAの本来の高次構造を保つことによりRNA構造解析をおこなった。画像解析の自動化プログラムを開発し、28S rRNA全長の構造を予測した。この予測と結晶構造解析から提唱されている 28S rRNA のモデルとを比較検討し、両者とも非常によく合うこと、また結晶構造解析からは不明であった部位の構造も予測可能であること、さらに、単離・精製の過程で、rRNAの構造は非常に安定であることが分かった。現在、80%が未知であるHCVのゲノム全体構造に解析に移った。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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