研究領域 | ウイルス感染現象における宿主細胞コンピテンシーの分子基盤 |
研究課題/領域番号 |
24115005
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
柳 雄介 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40182365)
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研究分担者 |
荒瀬 尚 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (10261900)
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研究期間 (年度) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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キーワード | ウイルス / 免疫学 / 感染症 / 微生物 / 蛋白質 |
研究実績の概要 |
麻疹ウイルスの細胞侵入には、エンベロープ上のH蛋白質(受容体結合能をもつ)、F蛋白質(膜融合能をもつ)と標的細胞表面の受容体の相互作用が関わっているが、その詳細は不明である。研究代表者のこれまでの研究成果に基づき、麻疹ウイルスH蛋白質四量体構造(dimer of dimers)のdimer間の界面に変異を導入したH蛋白質変異体を作製し、それらの構造と機能を解析した。その結果、H蛋白質四量体の構造変化がF蛋白質を活性化して膜融合を起こすのに重要であることが明らかになった。また、既知の受容体を発現していない神経細胞への麻疹ウイルス感染には、細胞外領域の変異によるF蛋白質の融合能の上昇が重要な役割をしていることを、組み換えウイルスを用いた培養神経細胞の感染、動物モデルの感染によって明らかにした。 免疫システムとウイルスとは密接な関係を保ちながら共に進化し適応してきた。研究分担者は、種々のウイルス、特に持続感染ウイルスによる宿主免疫機能制御機構、また宿主細胞の感染抵抗性獲得機構の解明を目的として研究を進めた。ヘルペスウイルスの細胞内侵入機序やウイルス感染細胞に対する免疫応答を解析するために、種々の免疫制御分子と会合するウイルス分子、特に抑制化レセプターの免疫グロブリン融合蛋白質を用いて新たな免疫逃避に関わるウイルス分子を探索した。その結果、水痘帯状疱疹ウイルスの細胞内侵入に関わる新たな分子とヒトヘルペスウイルス6の膜融合に関わる分子を同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ計画通りに研究を達成している。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画にしたがって研究を進める。特に、ウイルス侵入機構に関してはX線解析や電子顕微鏡を用いた解析にも力を入れる。免疫システムとウイルスの相互作用に関しては、免疫細胞に発現している分子を中心に、宿主への感染性を決定するファクターの解明を進める。
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