計画研究
夏目チームの目的は、プロテオミクス技術を用い、ウイルス感染をタンパク質レベルで包括的に理解することである。本年度は、東京大学・川口チームと共同研究を行い、質量分析により見出されたHSV-1ウイルスの新規タンパク質候補5種類のうち3種類について、確認検出用のタグ配列をウイルスゲノム組み込んだ組み替えウイルス作成、ウイルス感染時、実際にタンパク質として発現していることを確認した。さらに、検出された3種類の新規タンパク質のうち少なくとも1種類については、HSV-1がもつウイルス病原性に関わることを明らかとした。また、筑波大学・永田チームと共同研究を行い、質量分析により見出されたインフルエンザウイルスNS1タンパク質結合タンパク質Xについて、上皮細胞においては、インフルエンザに対する重要な宿主応答因子であるTNFαの発現抑制に関わっており、NS1はタンパク質Xの機能を増強する形でTNFαの発現抑制を行なっていることが明らかとした。伊庭チームの目的は、広範なウイルスに対する宿主コンピテンシー制御活性をもつmiR-199-3p/-5pに注目して、その抑制活性の分子機構を探る点にある。本年度は、miR-199a/Brm/EGRが形成する遺伝子抑制ネットワークに立ち帰ってその全体像をとらえ、HSV-1に限らず広くウイルスに対して上皮細胞が内蔵するコンピテンシーの理解を進めることとした。特に不明であったBrmがEGR1/2/3/4遺伝子群の発現を抑制する機構に注目して、上皮細胞ではBrmの存在がMKL1/2に依存した転写因子SRFの標的遺伝子群の活性を抑制していること、EGRファミリー遺伝子群はこのようなSRF標的遺伝子の代表例ととらえられることを示した。さらにBrmはMKL1/2の発現に影響を与えてはおらず、MKL1/2タンパク質の細胞核内への局在を阻害することを示した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
伊庭先生所属千葉大学真菌医学研究センターホームページ: http://www.pf.chiba-u.ac.jp/
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件、 オープンアクセス 10件)
Sienctific Reports
巻: 7(1) ページ: 889
10.1038/s41598-017-00982-3
Nat Biotechnol.
巻: 35(4): ページ: 310-312.
10.1038/nbt.3758.
Nat Methods
巻: 14(3) ページ: 251-258.
10.1038/nmeth.4116.
J Biol Chem
巻: 292(10) ページ: 4099-4112
10.1074/jbc.M116.769109.
Biochem Biophys Res Commun
巻: 478(1) ページ: 363-70.
10.1016/j.bbrc.2017.01.101.
Biochem Biophys Res Commun.
巻: 481(3-4) ページ: 232-238
10.1016/j.bbrc.2016.10.120.
J Proteome Res.
巻: 15(8) ページ: 2548-59.
10.1021/acs.jproteome.6b00087.
FEBS Lett
巻: 590(9) ページ: :1291-1303
10.1002/1873-3468.12180.
ACS Chem Biol
巻: 11(6) ページ: 1569-77
10.1021/acschembio.5b01014.
Mol Cell Biochem
巻: 414(1-2) ページ: 1-12.
10.1007/s11010-015-2643-4.