計画研究
精神疾患のマイクロエンドフェノタイプのうち、最も研究が進んでいるのは、うつ病における樹状突起萎縮およびスパイン密度の低下であるが、その基盤は明らかでない。近年、グルラミン酸受容体のサブタイプであるNMDA受容体が、これらのマイクロエンドフェノタイプに関与していることが判ってきた。NMDA受容体拮抗薬ケタミンは、治療抵抗性うつ病患者に対して、即効性の抗うつ作用を示すことが報告されており、世界中で注目されている。今回、NMDA受容体への親和性が弱いRケタミンの方が、エスケタミンより抗うつ効果が強く、副作用が少ないことを報告した。さらに、ケタミンの持続抗うつ作用のメカニズムに海馬のP11が関与していること、グルタミン酸トランスポーターが関与していることを報告した。統合失調症モデルとして報告されているセリンラセマーゼ遺伝子欠損マウスの脳では、糖新生の異常が起きていることを見出した。またこのマウスは社会的敗北ストレスを行っても、うつ症状を引き起こさない可能性が示唆された。このことは、セリンラセマーゼ遺伝子欠損マウスは、ストレスに対するレジリエンスを示すことが判った。
2: おおむね順調に進展している
うつ病のマイクロエンドフェノタイプに関する研究は、国際誌に論文発表を済ませており、本研究は順調に進んでいる。
引き続き、精神疾患のマイクロエンドフェノタイプをグルタミン酸神経系から研究を進めていく。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 6件、 謝辞記載あり 6件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 7件)
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