レトロトランスポゾンLINE-1の体細胞転移と精神疾患様行動異常の相関を検討するため、神経発達障害動物モデルであるマウスpolyI:Cモデルを用い、様々な脳領域とL1コピー数の検討を行う。今年度は大規模な個体数での行動解析指標の取得を終え行動異常の発現の確認と、様々な脳領域および肝臓などの体細胞組織からゲノムDNA抽出を終えた。 モデルマウスにおけるLINE-1メチル化状態を検討するため、パイロシークエンシングを用いたマウスにおけるLINE-1メチル化率定量法の確立を行った。本定量法では、マウスで転移活性を保持している3種のLINE-1サブファミリーにおけるプロモーター領域のメチル化率を個別に測定する系の確立に成功した。本法を用い、polyI:Cモデル動物でのメチル化率定量を開始した。 また、ヒト死後脳微量DNAを対象としたLINE-1挿入部位検討法の確立のため、改良L1-HsSeq法を確立し、ヒト死後脳試料への応用を開始した。 トランスポゾン新規転移、一塩基多型や染色体異数性など、脳神経細胞における体細胞変異を網羅的にカタログ化するため、平均X100の深度での全ゲノム解析を大脳、小脳、神経細胞、非神経細胞および肝臓試料について行い、バイオインフォマティクス解析を開始した。一塩基多型についてはインフォマティクス解析が終了したサンプルについて、独立した手法を用いた検証実験を開始した。
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