本年度の実績として、複数のヒト死後臓器(肝臓、前頭葉皮質、小脳、前頭葉神経細胞、前頭葉非神経細胞)から抽出したゲノムDNAで行ったX100以上の深度の全ゲノム解析データを用いて、一塩基変異を対象とした体細胞変異の検出を行った。得られたシークエンスデータの品質管理後、体細胞変異検出アルゴリズムであるMutectおよびStrelkaを用いて候補体細胞変異の検出を行った。まず、前頭葉皮質と小脳全ゲノムデータを用い、シークエンスデータの品質管理条件と解析アルゴリズムのパラメーターを複数点設定し、体細胞候補の変異を様々に得た。これらについて一括して独立した検証実験を、MiSeqを用いたアンプリコンシークエンシング法、および、パイロシークエンシング法を用いて行った。その結果、パイロシークエンシング法による確認はもともとアレル割合の高い候補でのみ追試できたが、MiSeqによるアンプリコンシークエンシング法はアレル割合の低い候補も含めて良好に追試できた。追試実験の結果、最も偽陽性・偽陰性の少ない品質管理条件および解析パラメーターの設定を行った。また確立した解析手法を前頭葉神経細胞・前頭葉非神経細胞肝臓試料のシークエンスデータに適用し、それぞれの試料で体細胞変異の候補を同定した。 エピゲノム解析については、微量ゲノムDNAを用いた増幅法により、プロモーター領域に特化したDNAメチル化解析法の条件設定を行った。
|