計画研究
淡水魚の病原細菌,Mycoplasma mobile(モービレ)はその片側に滑走装置を形成し,ユニークなメカニズムで‘滑走運動’する.本研究ではこれまでの実験結果から提案した運動メカニズムの作業仮説,「滑走装置は4種類の新規巨大タンパク質から成る表面構造と,7種類のタンパク質から成る内部構造に分けられる.滑走装置からは長さ50ナノメートルのやわらかいあしが多数つきだしている.ATPの加水分解により装置に動きが生じ,あしのタンパク質が宿主細胞表面などのシアル酸オリゴ糖をつかんだり,ひっぱったり,はなしたりして,滑走運動が起こる.」に基づいた実験を行った.これまで不明であった内部構造とその動きを,蛍光タンパク質による標識,従来型電子顕微鏡法,クライオ電子顕微鏡法,高速原子間力顕微鏡法などで明らかにした.また,プラスチックビーズを,ガラス表面に固定した菌につかませることで,1本の動きを直接観察することに成功した.さらに遊離のシアル酸オリゴ糖を加えて働くあしの数を減らすことで,1本のあしの出す力が一般的なモータータンパク質の数分の1であることを突き止めた.モービレと同じモリクテス綱に属するヒト病原細菌,Mycoplasma pneumoniae(ニューモニエ)は同様に滑走運動を行うが,必須タンパク質などにモービレとの共通性はない.この滑走のあしとして働くP1 adhesinの構造を,クライオ電子顕微鏡を用いた単粒子解析により,9オングストロームの解像度で明らかにした.さらに,モービレの研究で培った測定技術を応用することで,エネルギー源がATPであることを示した.これまでの結果を基に,マイコプラズマ属,さらには全生物における運動能獲得過程の議論を行った.
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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