計画研究
べん毛モーターは固定子と回転子という二つの部位から構成されている。回転力産生において重要な回転子構成タンパク質として、FliG, FliM, FliNが挙げられる。一方、固定子は、4回膜貫通型タンパク質MotAと1回膜貫通型タンパク質MotBから構成されており、MotA4MotB2ヘテロ6量体を形成し、固定子へのイオンの流入と共役して、MotAの細胞質側領域とFliGのC末端ドメインが相互作用し、回転力が発生すると考えられている。A. aeolicus VF5株のゲノム配列を解析したところ、固定子遺伝子として1つのmotA遺伝子と2つのmotB遺伝子(motB1, motB2)があることが分かった。A. aeolicusのゲノムDNAからこれらの遺伝子をPCRにより増幅し、プラスミドベクターpCold I, pBAD24, pSBETaへとクローニングした。大量発現のために、pCold I- motAB1を大腸菌BL21-CodonPlus (DE3)-REPL株に導入して発現させたところ、A. aeolicusのMotAはこれまでに用いた他の菌種のMotA相同タンパク質の中でも、特によく発現することが分かった。また、MotAを発現させた大腸菌から回収した膜画分を界面活性剤Cymal-5で可溶化し、良い精製度で大量にMotAが得られたが、A. aeolicusのMotA/Bは大腸菌(ΔmotAB株)の中では機能しなかった。一方、ペリプラズム領域を大腸菌のMotBと置き換えたキメラ体では、大腸菌中でわずかに機能した。ここから、運動能が上昇する自然発生突然変異体を得ることに成功した。この運動能向上変異体を用い、ナトリウムイオンの運動能依存性を示すことが出来た。これにより、A. aeolicusの持つべん毛モーターがナトリウム型であることを証明できた。
2: おおむね順調に進展している
クライオ電子顕微鏡によるモーター構造解析については、基部体の単粒子解析が遅れており、詳細なべん毛モーター構造を明らかにできていない。しかし、高度高熱菌由来のモーター遺伝子のクローン化と発現には成功しており、モーター機能解明への大きな足がかりを得たといえる。従って、全体としては、順調に進展していると言える。
ビブリオ菌由来の基部体精製は、理由がわからないがプロトン型のものに比べ、非常に手こづっている。しかし、粘り強く進めていく予定である。一方、高度高熱菌由来のモーター蛋白質が大腸菌で機能することを発見したことから、この蛋白質について研究を集中することにより、研究の推進をする。すべての研究計画がうまく進行している訳ではないが、おおむね順調に計画は進行している。大筋で、これまでどおりに研究を進めることで問題はない。
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