研究領域 | 運動超分子マシナリーが織りなす調和と多様性 |
研究課題/領域番号 |
24117006
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
中山 浩次 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80150473)
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研究分担者 |
佐藤 啓子 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (70410579)
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研究期間 (年度) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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キーワード | 運動 / 細菌 / タンパク質分泌 |
研究概要 |
1.滑走運動細菌Flavobacterium johnsoniaeは低栄養培地上では滑走運動を行うが、glucoseが10 mM含有培地では滑走しないことを見出した。さらにトランスポゾン変異株を多数分離し、この10 mM glucose含有培地でも滑走できる変異株を分離した。それらの変異株の変異遺伝子を同定した。いろいろな遺伝子の変異株であったが、マイクロアレイ解析を行った結果、これらの変異株のいくつかはglucose存在下でも野生株がglucose非存在下で滑走運動しているときと同様な遺伝子発現を行っていることがわかった。また、これらの変異株がglucose存在下で滑走するときには菌体外に数種のタンパク質を分泌していることがわかった。 2.表面タンパク質を分離し、それらに対する抗体を作製した。この抗体はいろいろな表面タンパク質を認識した。この抗体をF. johnsoniaeを生きたまま反応させ、蛍光二次抗体で可視化し、蛍光顕微鏡にて観察した。本菌が滑走運動をしているときには菌端から一定の距離にある表面タンパク質は端からの距離を保ちながら滑走運動の進行方法に向かって左回転していることがわかった。このことは本菌の滑走運動は確かに短軸方向に回転しながら前進運動を行っているを示唆した。 3.菌体表面をラセン状に旋回する線毛を構成するタンパク質SprBに対する抗体で蛍光染色すると蛍光スポットがらせん状に動くことが観察される。このSprBが平面に接着することで推進力を生んでいるという仮説を立てている。SprBスポットを詳細に観察するとあるスポットを追い越して移動するスポットがあることを発見した。このことはらせん状のレールが複数本存在することを示唆してした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成25年度は滑走運動細菌F. johnsoniaeの滑走運動についてその運動機構を提案する論文をProc. Natl. Acad. Aci. USAに発表した。また、滑走運動の制御に関わる現象を発見した。
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今後の研究の推進方策 |
1.トランスポゾン変異株が滑走運動時に分泌するタンパク質についてそれらの遺伝子の変異株を作製し、これらのタンパク質が滑走運動に関わるかどうかを検討する。 2.これらのタンパク質に対する抗体を作製し、いろいろな培養条件下でのこれらのタンパク質の発現・局在を調べる。 3.野生株を低栄養培地およびgkucose含有培地で増殖させた菌のマイクロアレイの結果から滑走運動時に強く発現する複数のタンパク質を同定している。これらの遺伝子について滑走運動との関係を明らかにするため、変異株を作製し、解析する。 4.変異株がglucoseを取り込むかどうかを知るため、2-デオキシグルコースの代謝速度を測定し、代謝が生じているかどうかを調べる。 5.低栄養培地で発現していてglucose培地では発現しないタンパク質についてそれらのが滑走運動に関わるかどうかを遺伝学的方法で解析する。
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