計画研究
1.昨年度の研究で、クライオ電顕観察で菌体表面近くにラセン状で筋状の構造があり、菌を界面活性剤で弱く処理したのち、酢酸ウランで陰性染色するといくつかの線維状構造が束になった帯状の構造物を発見したが、本年度、このマルチレール状構造物がなにで構成されているかについて検討した。滑走運動に関わるGldおよびSprの各タンパク質の抗体を用いて免疫電顕を行ったところ、抗SprD抗体がこのマルチレール状構造物に反応した。しかし、sprD変異株にもマルチレール状構造物が検出されることからSprDタンパク質はこの構造物に付随して存在すると考えられた。そこで抗SprD抗体を用いてSprDと共沈降するタンパク質の発見を試みたところ、GldJタンパク質が共沈降することがわかった。gldJ変異株はマルチレール状構造物が検出されないことからGldJはこの構造物と深く関係することが示唆された。2.Flavobacterium johnsoniaeの滑走運動に関係した現象としてcolony spreadingがあるが、昨年度はある条件下でcolony spreadingを起こす菌は菌体外にいくつかのタンパク質を分泌することがわかった。今回、これらをコードする遺伝子をそれぞれ単独で欠損した変異株は野生株同様にcolony spreadingを起こすが3つとも欠損した変異株はcolony spreadingの程度が減弱することがわかった。この結果はこれらのタンパク質がcolony spreadingに関わることを示唆した。
2: おおむね順調に進展している
滑走運動と関係した、外膜直下のマルチレール構造物およびそれに付随したタンパク質の同定がある程度できた。
研究は順調に進行しており、当初の研究計画を変更せず、実施する。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
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