研究領域 | 運動超分子マシナリーが織りなす調和と多様性 |
研究課題/領域番号 |
24117007
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
福森 義宏 金沢大学, 自然システム学系, 教授 (60135655)
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研究期間 (年度) |
2012-06-28 – 2017-03-31
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キーワード | 原核細胞 / オルガネラ / イメージング |
研究概要 |
平成25年度は、広宿主域プラスミドを用いて、M. magneticum AMB-1においてMamC-GFPの融合タンパク質の発現系を構築した。MamC-GFPを発現させた細胞を、ポリ-L-リジンでコートしたカバーグラスに付着させ、長時間観察による細胞の遊離を防ぐためジェランガムゲルにより細胞を固定した。液体培地で満たしたチャンバー内で、微好気的に磁性細菌の培養を行いつつ24-48時間に渡って長時間蛍光タイムラプス観察を行った。観察には、斜光照明(HILO照明)法を用いた。 蛍光顕微鏡観察の結果、MamC-GFPは、細胞の長軸方向に沿ってスポット状に観察され、マグネトソームの局在部位と一致していた。細胞はタイムラプス観察中に複数回分裂し、細胞周期を通してマグネトソームの動態を観察することができた。細胞の伸長とともに、細胞内の蛍光スポット間の距離が増加したが、細胞長軸における相対的な位置は変化せず、その後に起った細胞分裂により、蛍光スポットが娘細胞へ安定して分配される様子が観察された。また、娘細胞では細胞の成長とともに、新規にマグネトソームが形成される様子を観察することができた。また、同様の実験をMamK欠損株を用いて行った。MamKはアクチン様細胞骨格タンパク質であり、マグネトソームの鎖状構造形成や安定伝搬に寄与することが示唆されている。mamK欠損株において、MamC-GFPの蛍光スポットは、野生株のように細胞の長軸方向に沿って分布せず、野生株と比べて細胞内をランダムに移動し、結果として娘細胞に不均等に受け渡されていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
25年度の研究計画では、オルガネラ(マグネトソーム)だけでなく細胞骨格繊維も同時に可視化する予定であった。25年度の目的である実験系の構築は成功したので、細胞骨格繊維も同様に可視化を試みたが、実験条件の検討に時間がかかり、年度内に実験を終了することができ成った。よって。達成度を70%とみなし、「おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
25年度の研究によりマグネトソームの生細胞イメージング技術を確立し、細胞周期を通じたマグネトソームの動態観察に初めて成功した。この技術を用いれば、細胞骨格繊維の可視化も期待されることから、マグネトソームと細胞骨格繊維を異なる蛍光タンパク質でラベルすることにより、生きた原核細胞内での2種類のオルガネラの動態を同時に観察することに取り組みたい。
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