計画研究
転写サイクルにおける情報変換機構のダイナミクスの解明を目的とし、計算科学と情報科学により情報変換システムとしての転写サイクルを考察した。具体的には、本計画研究班の緒方一博教授(横浜市大)らが見出したEts1のN末端側天然変性領域(IDR)がEts1/DNA結合の解離定数を上昇させる分子機構を明らかにするため、独自開発したomegageneプログラムによりV-McMD法を用いてETSドメイン、IDR、DNAを含む大規模系を計算した。この系ではIDRはDNA結合部位をマスクせず、ETSドメインのHI-1ヘリックスの安定性が弱まっていた。また、計画研究班の高橋秀尚講師(北大)が明らかにしたMed26の分子スイッチ機構を解析するため、Med26/Taf7、Med26/Eaf、Med26/Aff4の3種類の複合体についてV-McMD法を用いて複合体構造を予測し、実験と整合する相互作用が観測された。さらに、公募研究班の平田章講師(愛媛大)らによるアーキアRNAP結晶構造に対してMD計算によるダイナミクスを解析し、D/Lサブユニットが触媒ドメインとの相互作用によって安定化されることを見出した。一方、ゲノムワイドにおける転写因子の複合体形成状態やそれに伴うヒストン修飾の局在状態を解析するため、各種ChIP-Seqデータを収集して統合的に解析を行った。ES cellに関してピーク領域の共起状態に関してアソシエーション分析を適用することにより、既知の事実ではあるが発生・分化に関わるpolycomb 複合体とbivalent ドメインの関係を収集データと情報解析だけで見出すことができた。また、Pol IIの局在状態からnascent RNAの発現、そして最終的なmRNA発現量の関係を調べるために、Pol IIのChIP-Seqと4sU-Seq、RNA-Seqのデータを統合して解析を行った。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 2件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 8件、 謝辞記載あり 7件) 学会発表 (21件) (うち国際学会 5件、 招待講演 5件)
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