計画研究
平成24年度は、新規に導入したUnderway-CTDとクロロフィルaセンサー付プロファイリングフロートの整備と予備観測と、既往データ解析、物理・生態系モデルの整備を実施した。衛星海面高度、衛星海色データ、およびプロファイリングフロートデータを用いた解析からは、黒潮続流域の中規模渦とクロロフィルaの対応関係、釧路沖高気圧渦の再生過程、黒潮域におけるクロロフィルa濃度の季節変動特性を明らかにした。また、渦解像海洋大循環-低次生態系結合モデル(ROMS-eNEMUROおよびCOCO-NPZD+Fe)の整備を行った。ROMS-eNEMUROは気候値外力を用いたスピンアップ実験を実施し、スピンアップ実験の結果のバイアス特性を解析した。
2: おおむね順調に進展している
現場観測、既往データ解析、モデリングの3つのアプローチそれぞれが順調に進展している。現場観測は、平成24年度は主に器材の導入と性能試験、予備的観測を行ったが、米国Oceanscience社製Uunderway-CTD、溶存酸素・クロロフィルa /粒子散乱センサー付きプロファイリングフロートApex (Chlフロート)ともに正常に動作している。既往データ解析は、衛星海面高度、クロロフィル濃度を中心とした解析により、渦とクロロフィル濃度の関係等、新たな知見が得られている。モデリングに関しては、3次元モデルのスッピンアップ実験を通してモデルのバイアス特性が明らかとなった。
平成25年度以降も、現場観測、既往データ解析、モデリング3項目に関して、継続的に取り組みを実施する。平成25年度は、4月、12月からの白鳳丸航海でchlフロートをそれぞれ2台、中規模渦およびモード水分布域に投入する。また2013年12月~2014年2月に実施される白鳳丸航海では、U-CTDおよびグライダーを用いた高解像度観測を実施し、各海域における中規模渦の分布や、それらが物質循環に果たしている役割について検討する。衛星データ解析に関しては、解析対象をより広範な海域に拡張し、衛星とモデルデータの比較をすることにより、中規模渦および前線が低次生産に果たす役割評価につなげる。生態系モデルは、衛星およびフロートによる観測データ解析結果と照合しながら、より高精度のモデル開発を進める。また、中規模渦やモード水分布が長期的にどのように変化し、栄養塩輸送や基礎生産にどのように影響しているか、詳細に検討する。
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (25件) (うち招待講演 4件)
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