計画研究
「モード水形成、中規模渦等の海洋物理過程が特異な生物・化学過程を励起し、その分布域が新しい区系として明瞭に区分される」という作業仮説を実証する対象海域として、太平洋、特に西部北太平洋に焦点をあて、観測、既往データ解析および生態系モデリングに取り組んできた。黒潮続流から親潮に至る海域は、様々な渦が多数存在するほか、深い冬季混合層の発達により各種モード水が形成される海域として知られている。本年度までの取り組みでは、中規模渦や黒潮続流に関わる基礎過程としてプロファイリングフロートを中心とした個別現象の観測と観測データの解析、またそれと並行して海域内で出現する(複数の)中規模渦や前線等の動態とクロロフィルa濃度との関連、それらの長期変動特性の解析(4.2d)を行った。これらの取り組みから示唆される物理―生産リンケージの精査のため、生態系モデリングも進めている。研究計画班独自のターゲットである西部北太平洋の集中観測・解析とは別に、他の研究計画班と連携し白鳳丸KH-13-7次航海において太平洋を縦断する高解像度物理観測を実施した。また、区系定義に関わる議論を加速するため、太平洋を対象として物理過程に基づく区系提案も行った。
1: 当初の計画以上に進展している
当初の計画では、平成26年度以降に海洋物理過程に基づく新区系を提案する予定であったが、平成25年度内に太平洋を対象とした新区系提案を行った。このほか、作業仮説を実証するための観測、データ解析、生態系モデリングはおおむね順調に推移している。
平成26年度以降も、観測、既往データ解析の事例を蓄積し、モデリングとの双方向フィードバックにより検証を深める。また、本年度提案した物理過程に基づく太平洋区系を元に、他の研究計画班から提案される他の過程に基づく区系や、価値化・ガバナンス等の実用面からの要請を受けて議論、改良を進める。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (10件) (うち招待講演 2件) 図書 (1件)
Progress in Oceanography
巻: 126 ページ: 109~120
10.1016/j.pocean.2014.04.014
Fisheries Oceanography
巻: 22 ページ: 509-522
10.1111/fog.12041
Journal of Oceanography
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1007/s10872-014-0225-9
Scientific Reports
巻: 4 ページ: –
doi:10.1038/srep04276
10.1111/fog.12065
Geophysical Research Letters
10.1002/grl.50613.
Global Biogeochemical Cycles
巻: 27 ページ: 65-76
10.1029/2012GB004413
ICES Journal of Marine Science
巻: 70 ページ: 980-990
10.1093/icesjms/fst089