計画研究
海洋の物理構造は、生物・化学過程に大きな影響を及ぼしている。海盆スケールの海流系等、大規模かつ平均的な物理構造の情報は、生元素と生物相の分布および一次生産の季節変動に基づいた古典的海洋区分の基礎となってきた。ところが近年、上記の物理的平均場に見出される循環系より時空間スケールの小さい現象が熱や物質の輸送に本質的な役割を果たしていること、またそれらの存在頻度が海盆スケールで見て一様ではないことが明らかになってきた。本研究では、モード水や中規模渦等の海洋物理過程の分布域が新しい海洋区系として区分されるという仮説に基づき、これを実証するために観測と既往資料の解析により物理構造を精査し、モデルによって生態系への影響を評価する。平成27年度までの観測とデータ解析により作業仮説が検証され、海洋物理構造に基づく新しい区系提案を行った。また、観測とデータ解析・モデリングにより、海洋の物理的動態が生態系におよぼす影響に関する知見が得られた。最終年度である平成28年度は、区系の相互比較・定量評価のためのマッピングに重点を置き、生態系モデリング、海洋観測結果の解析、区系マッピングフレームワークに関して成果を得た。海洋区系の提案は、海洋、特に外洋域における生態系サービスの評価と将来的なガバナンス構築を目的としており、自然科学系各班から提案される区系の比較、社会科学各班への説明、理解促進は非常に重要である。そこで、各班の区系やLonghurstのProvince等をGISで表示、比較できるよう、フォーマット・変換プロトコルの提案を行った。また、物理過程から提案した区系をクロロフィル・栄養塩に基づく区系と比較・照合した上で、領域が示す新しい区系として提案した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
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