計画研究
本研究課題では、新生産・再生生産の再評価に関わる炭素・窒素循環の素過程をキープロセスと位置づけ、特に、窒素固定・硝化、動物プランクトン・食物網、溶存有機物(Dissolved Organic Matter: DOM)-従属栄養細菌群集に関わるプロセスに着目し研究を進めてきた。本年度の成果として、まず、新生産の重要なプロセスの一つである窒素固定に関して、北太平洋の海盆スケールの窒素固定生物の分布とその要因を調べ、冗長分析から、熱帯・亜熱帯貧栄養海域の窒素固定群集組成と水温との間に有意な関係を認めた。最も高い窒素固定活性は亜熱帯海域の表層で見られ、新生産への寄与は84%に達した。また本研究では、これまで調べられていなかったベーリング海においても窒素固定活性を検出した。次に動物プランクトンに関わる諸過程の解析として、その日周鉛直移動に伴う呼吸・排泄特性の応答過程を小笠原父島近海の定点において調べた。その結果水温の変化に対して呼吸速度の変化率が、アンモニア排泄速度の変化よりもやや大きいことが示された。また、代謝基質の指標となるO:N比は、昼間は29.8、夜間は32.1であったことから、タンパク質よりも脂質が代謝維持の上で重要であったと考えられた。続いて、海洋における再生生産のメカニズムを明らかにするために、上述の定点における時系列観測において、易分解性DOMと従属栄養細菌群集の連鎖過程に焦点を当てた研究を実施した。クロロフィル極大は観測期間中110-120m層付近に存在し、表層混合層内のクロロフィル濃度は、その1/10程度であった。一方、基礎生産は圧倒的に表層混合層内で高く、細菌群集生産も同様な分布を示した。栄養塩濃度の枯渇した表層混合層内で高い基礎生産と細菌群集生産がカップリングしながら維持されていることは、再生生産が活発に生じていることを強く示唆した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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