太平洋における様々な海洋区系において、物質循環を駆動する海洋一次生産の調節機構の解明に取り組んだ。太平洋における微生物および植物プランクトンの栄養塩制限状態、特にリンや鉄の制限状態について明らかにした。亜熱帯海域において温度の上昇が真核植物プランクトンの平均サイズを増加させることが示唆され、混合栄養生物の外洋における重要性が浮かび上がった。北太平洋亜寒帯域、北太平洋亜熱帯域、太平洋赤道域、南太平洋亜熱帯海域の生物生産調節メカニズムの特徴から、鉄が各海洋区によって多様な役割を果たしていること、貧栄養な亜熱帯海域における生産構造を記述する上でリン循環を考慮することが不可欠であることが認識された。
|