計画研究
この計画研究班は、海の恵みを国際社会が最適利用するのに必要となる条件を明確化させることを目的とし、経済学や国際政治学など社会科学を軸足とした学際的な研究を行うものである。漁業や海洋は、空間的には陸上から観察しにくい対象であり、また時間的にも環境変動などの不確実性が存在する。本研究班では、このような規制対象の特質が、国際的な合意形成をどのように阻害または促進するのかを解明することを目指している。更にはこれらの研究結果を自然科学の分野を研究対象とする他班にフィードバックさせ、領域全体の目的達成に資することを目指す。このうち、科学等に不確実性が存在する中での国際合意形成過程に関する研究については、国家管轄外区域における生物多様性(BBNJ)を巡る国連での議論を主な題材として合意形成過程を研究した。手法としては、当該会合に出席し代表団にインタビュー調査などを実施する、また得られた各国の発言内容をテキストマイニングするなどを用いた。この結果、BBNJに関しては、OECD諸国(先進国)とG77諸国(途上国)で関心事項が異なっていることが明らかになった。特に前者が公海での海洋保護区(MPA)の設置や環境影響評価(EIA)の制度化といった環境に関する側面、および公海資源の持続可能な開発という経済的な側面に関心を有しているのに対し、後者は海洋遺伝資源の利用から生じる利益を途上国などに公平に配分することや、キャパシティービルディング(能力開発)に関心を有していることが現地で確認できた。また、この研究結果を外国人研究者や実務者などを含めて議論するため、本学で2016年12月10日に国際ワークショップを開催した。この題名は「国家管轄圏海域外の海洋生物多様性(BBNJ)に関する国際シンポジウム」であり、海洋生態系の保全と管理について国際合意を図る際の問題点などに関する知見を深めることができた。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 謝辞記載あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
Marine Policy
巻: 81 ページ: 1-8
Frontiers in Marine Science
巻: N/A ページ: N/A
10.3389/fmars.2016.00224
巻: 71 ページ: 210-216
巻: 71 ページ: 54-69