研究領域 | 新興国の政治と経済発展の相互作用パターンの解明 |
研究課題/領域番号 |
25101003
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
戸堂 康之 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (30336507)
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研究分担者 |
鈴木 綾 東京大学, 新領域創成科学研究科, 講師 (20537138)
堀田 昌英 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (50332573)
MATOUS PETR 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (70508192)
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研究期間 (年度) |
2013-06-28 – 2018-03-31
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キーワード | 社会ネットワーク / 経済発展 / 新興国 |
研究実績の概要 |
本研究は「地域内・国内の社会ネットワークが密であることが政治的な排他主義を生み、よそ者とのつながりを排除することがある」との仮説を、新興国のフィールド調査によって収集するデータなどによって検証するものである。2014年度は、インドネシア、ベトナム、フィリピン、エチオピアで大規模な企業調査および社会実験を行ってデータを収集しつつ、すでに入手済みのデータも利用して以下のような研究を行った。 (1)インドネシア製造業で収集したデータを使い、企業間のつながりや企業と政治家とのつながりが企業の信用制約や輸出行動、経営者のグローバル経済に対する考え方にどのように影響するかについて分析を行った。その結果、政治家とのつながりが企業の信用制約を緩和し、国内企業とのつながりが経営者の海外に対する排他性を強化することが見い出された。 (2)インドネシア農村で収集したデータを使い、農家間のつながりが農家の購買行動に影響を与えることや、農業技術伝播の元となるコミュニケーションを促進するには、携帯電話の所有だけでは不十分でバイクの所有との補完性があることなどを見出した。 (3)フィリピンの廃棄物処理場においてウェイストピッカーを対象に収集したデータや社会実験を基に、アクター間の相互関係及び集団間のパフォーマンスを規定する要因を、社会ネットワーク構造に着目しつつ分析し、共同関係によって作業の効率性を向上させていることが明らかとなった。 この他、中国企業の輸出行動、中国企業による対外M&A、エチオピアのコーヒー農家、エチオピアの切り花産業などのミクロデータを利用して、様々なネットワークがどのように個人や企業のパフォーマンスに影響しているかを分析した。これらの業績は、学会で発表され、国際学術誌に掲載された。まだ国際学術誌に掲載されていないものは、今後投稿予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2014年度の研究実施計画として、(1)インドネシアの農村における農業技術の普及、(2)インドネシアにおける企業のネットワーク、(3)エチオピアの地方都市における企業ネットワーク、(4)フィリピンのごみ収集人のネットワークに関するものを挙げた。そのうち、(1)(2)(4)については上記の通り順調に成果が出ている。(3)については、切り花産業における研究に若干方向性を変えて、上記のような成果を上げている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、昨年度インドネシアとベトナムで収集したデータを重点的に分析しつつ、これまで収集したデータについてもできるだけ分析を深めていく。
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