研究領域 | 新興国の政治と経済発展の相互作用パターンの解明 |
研究課題/領域番号 |
25101004
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研究機関 | 政策研究大学院大学 |
研究代表者 |
白石 隆 政策研究大学院大学, ―, 学長 (40092241)
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研究分担者 |
相沢 伸広 九州大学, 比較社会文化研究科(研究院), 准教授 (10432080)
工藤 晶人 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 准教授 (40513156)
佐藤 寛 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 研究企画部, 上席主任調査研究員 (50403613)
武内 進一 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター, センター長 (60450459)
ホサム ダルウィッシュ 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センター, 研究員 (60615235)
HAU Caroline・Sy 京都大学, 東南アジア研究所, 教授 (70314268)
鬼丸 武士 九州大学, 比較社会文化研究科(研究院), 准教授 (80402824)
中西 嘉宏 京都大学, 東南アジア研究所, 准教授 (80452366)
カンチューチャット ヴェラユース 政策研究大学院大学, 政策研究科, 助教授 (80715631)
岡本 正明 京都大学, 東南アジア研究所, 准教授 (90372549)
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研究期間 (年度) |
2013-06-28 – 2018-03-31
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キーワード | 新興国 / 国家形成・建設 / 世界・地域秩序変容 / 開発戦略 / 比較研究 / 開発主義体制論 / マクロ比較史 |
研究実績の概要 |
本研究は中国、インド、ブラジル、インドネシア等の「新興国」の経済的台頭にともなう世界秩序、地域秩序の変容がどのような意義と効果を持つものなのかを比較史の観点から分析することと、「新興国」の国家形成・経済発展についてマクロ比較史的な国家形成研究と開発主義体制論の成果等を批判的に取り込みつつ、国家建設戦略と開発戦略の相互作用、国軍・官僚機構・政党の勢力配置と国家建設・経済発展の関連性などについて比較の観点から体系的に分析することを目的としている。 この目的を達成するために、平成26年度は①日本国内での定例研究会の開催と文献サーベイ、②海外での現地調査、データ収集・整理・分析、③海外から関連分野の研究者を招聘し研究会、ワークショップの開催を中心に研究を実施した。 まず文献サーベイについては昨年度から引き続き、研究参加者が関連分野の最新の研究動向について調査を実施した。次に国内定例研究会であるが、平成26年6月、12月、平成27年1月、3月に開催した。6月の研究会では今年度の活動方針の確認を、その他3回については研究参加者(現代班2名、歴史班1名)に中間報告をしてもらい、議論した。定例研究会とは別に、歴史班では平成26年9月より関連する若手研究者を中心にした勉強会を開催している。また平成27年1月に福岡で九州大学と共催講演会を開催し、研究成果を一般に公開した。現地調査については東南アジア諸国やヨーロッパでの文書調査、インタビュー調査を実施し、収集した資料やデータの分析を進めている。海外招聘研究者との研究会、ワークショップについては平成26年11月にタイの政治経済動向についての国際ワークショップを開催したほか、平成27年3月に昨年度に引き続きパスック・ポンパイチット氏(チュラロンコーン大学)を招聘し、研究会を開催した。また共同で研究会を開催するなど、他計画研究班との連携も進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず当計画研究班の研究進捗状況であるが、平成26年度より現代班、歴史班の二つの班に分かれて研究を実施することにより、国家形成と新興国の台頭による世界秩序・地域秩序の変容に関する長期の歴史過程に関する研究と、主に第2次世界大戦後から現代にいたるまでの新興国における政治・経済・国家に関する諸問題に関する研究が、それぞれより効率的に進展するようになった。海外での資料やデータの取集と、収集した資料・データの整理・分析も順調に進んでいる。 研究成果も出つつあり、単著1冊、編著1冊、雑誌論文9本(うち査読付き5本)が出版され、学会や研究会等でも研究成果の公開・発信をすすめている。また平成26年11月には現代班のメンバーが主催したタイの政治・経済動向に関する国際ワークショップを開催し、平成27年1月には九州大学と共催で講演会を開き、研究成果の一般への発信もおこなった。 本年度より国内定例研究会では研究参加者が最終成果とりまとめに向けた中間報告をし、計画研究班内で成果の共有・検討をおこなっている。これに加えて関連する若手研究者を招聘して勉強会を開催し、若手の育成にも取り組んでいる。 他計画研究班との連携も強化しつつある。具体的には、C01班の研究課題である「中進国の罠」に関する研究活動に本計画研究班のメンバーが参加し、平成27年5月に開催されるC01班主催の国際ワークショップで報告をおこなう。また同じく平成27年5月に開催される総括班主催の国際ワークショップではB02班と共同でパネルを組み、国家形成・経済発展の歴史に対して政治史、経済史が協力して取り組む体制の構築を目指している。 以上から本研究課題は当初研究目的の達成に向けて、おおむね順調に進展しつつあると考える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の目的を確実に達成するために、現代班・歴史班での研究を進めるだけではなく、それぞれの研究進捗状況の確認を随時、国内定例研究会でおこなう。そのため平成27年度は国内定例研究会を、平成27年8月を除き、毎月開催する予定である。本年度の国内定例研究会では研究参加者に現段階までの研究進捗状況と、最終成果に向けた見通しについて報告してもらい、研究成果の共有と検討を厳しく実施する。 研究成果の発信については、平成27年12月に京都で開催される東南アジア研究に関する国際ワークショップでパネルを組織するほか、昨年度に引き続きタイの政治・経済動向に関する国際ワークショップを開催し、その成果をJournal of Contemporary Asiaの特集号として公開する。また個々の研究参加者による書籍や論文、学会報告等の形での成果公開も進めると同時に、論壇誌や新聞等にも寄稿し、本計画課題の成果だけではなく、本領域の成果の発信もおこなう。 他計画研究班との連携はより強化する。具体的にはC01班と進めつつある「中進国の罠」に関する共同研究を継続するほか、B02班との共同研究の実施や研究会、ワークショップの共催などを通じて、政治史と経済史の間の対話を進めていく。また総括班が主催する研究会などで本計画研究班の成果を積極的に公開し、議論をおこなうことにより、本領域研究の進展に寄与する。 若手研究者の育成については、若手研究者を主体とした勉強会を継続して開催するほか、他計画研究班の若手研究者と連携を進め、本研究領域をリードする若手研究者の育成に力を入れる。
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