分子自己集合における二つの未解決問題に取り組んだ。一つ目は「分子ほぞ」という弱い分子間相互作用と疎水効果のみを使い一義自己集合体を形成するデザイン原理の確立で、二つ目は分子自己集合過程を調べる新手法(QASAP)の開発とそれによる分子自己集合過程の解明である。分子ほぞとして歯車状両親媒性分子をデザインし、これらを合成するための新規合成法の開発を経て、水中で130 °Cでも安定な箱型自己集合体「ナノキューブ」を開発した。一方、QASAPを用いて14種類の自己集合性錯体の形成機構を解明し、自己集合過程に見られる様々な特徴を見出し、さらにキラルセルフソーティングの機構も世界で初めて解明した。
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