計画研究
本研究では,数十を超える相互作用がつくり出す多成分錯体を基軸に,その構築過程に動的な秩序形成を組み込むことを目的として研究を展開してきた.代表的成果として,構成成分数を増やす検討の中から,これまで分子の世界では生み出されなかった4価のゴールドバーグ多面体骨格を有する錯体分子の発見に至り,さらに,90成分錯体から144成分錯体への大きな構造変化を伴う「秩序の相転移」とも呼ぶべき現象を見いだし,原著論文として報告した.また,この球状錯体骨格への官能基導入により多点分子認識を分子設計に取り込み,サイボーグ超分子の化学を展開してきた.骨格と官能基部位とのハイブリッド化により,巨大かつ精緻な構造の単分子を生み出すことができ,例えば,液晶性や動的な自己修復能を備えたゲルの創出に至り,原著論文として報告した.領域内の他班の研究グループとの共同研究も順調に進捗し,多成分錯体が形成されるダイナミクスが生み出される根本的な機構の解明に理論計算の手法を用いて取り組んできており,その成果を理論計算の研究グループとの原著論文として執筆中である.また,領域内の高分子合成の研究グループと,散乱解析の研究グループ,フランス原子力施設の研究グループとの4グループ体制での共同研究を展開し,動的にらせんのキラリティが切り替わる高分子システムに対して,中性子小角散乱による解析を行った.キラリティの起源が,個々の相互作用は弱いが高分子全体で積算されて効果が発現する溶媒和に起因することを実験的に明らかにした.この成果は国際共著の原著論文として報告した.多成分錯体の他にも,新たな動的秩序化超分子の化学に取り組んできており,湾曲したsp2炭素曲面が生み出す動的秩序化を自在に設計し,多様なピーポッド分子を合成した.代表的成果として,ピーポッド内のフラーレンが超高速に慣性回転することを見いだすに至り,原著論文として報告した.
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (14件) (うち国際共著 1件、 査読あり 14件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (24件) (うち国際学会 9件、 招待講演 3件) 図書 (3件) 備考 (1件)
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