第一に、熱力学を非平衡状態に拡張することにより、熱伝導下の気液転移において過冷却気体が安定化するという新しい現象を予言した。 第2に、流体方程式などマクロなダイナミクスをミクロなゆらぎの世界から導出するなど、ミクロダイナミクスとマクロダイナミクスをつなぐ方法論を開拓した。第3に、熱力学の考えにもとづいて時系列解析を考察し、時系列におけるレプリカ対称性の破れという現象を定式化し、レアイベントサンプリングの新しい方法を提案した。第4に、熱力学的形式にもとづいて時間平均ゆらぎの異常性が生じることを示した。最後に、ネーター不変量としてのエントロピーを定式化し、エントロピーの新しい側面を見出した。
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