研究領域 | ゆらぎと構造の協奏:非平衡系における普遍法則の確立 |
研究課題/領域番号 |
25103006
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
折原 宏 北海道大学, 工学研究院, 教授 (30177307)
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研究分担者 |
長屋 智之 大分大学, 工学部, 教授 (00228058)
佐藤 勝彦 北海道大学, 電子科学研究所, 准教授 (90513622)
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研究期間 (年度) |
2013-06-28 – 2018-03-31
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キーワード | ソフトマター物理 / 非平衡ゆらぎ / レオロジー / せん断流 / 液晶 / 非ニュートン流体 |
研究実績の概要 |
1.「液晶電気対流により誘起された負のせん断応力と履歴曲線」 ネマチック液晶に電圧を印加すると対流が発生するが、この状態におけるレオロジー測定が長屋らによって行われ、負の誘電率異方性を持つ液晶では電圧を上げていくとせん断応力が減少することが報告されていた。今回、高電圧側を測定したところせん断応力が負となることがわかった。また、応力ゼロの状態でレオメーターの平行平板間に挟んだネマチック液晶に電場を印加し、液晶電気対流を発生させると、円盤が自発的に回転する現象も見出された。さらに、せん断応力とせん断速度の関係を負の領域を含めて測定したところ、これらの量の間に強磁性体や強誘電体などで見られる履歴曲線が観測された。また、これらの量を電場の自乗でスケールすると電場の異なるデータがすべて一つのユニバーサルな曲線に乗ることが示された。 2.「シアバンディング時のF-アクチン溶液における配向分布の直接観測」 せん断流下においてF-アクチン水溶液が低粘度と高粘度の2相に分離すること(シアバンディング)が見出されているが、今回各相におけるアクチンフィラメントの配向分布の測定を行なった。測定には蛍光標識したアクチンと無標識のアクチンを1:225になるように調製した水溶液を用いた。この試料を、下側のステージをガラス板で置き換えたコーンプレート型レオメーターにセットし、シアバンドが形成されるせん断速度(0.32 1/s)を印加し、共焦点レーザー顕微鏡により観測した。シアバンドが形成された状態において低せん断相および高せん断相のフィラメントの配向テンソルを求めた。棒状高分子に対する土井・エドワード理論によると応力テンソルは配向テンソルに比例する。今回、本実験によって高せん断相と低せん断相でせん断応力に対応する配向テンソルの成分が一致することを初めて示すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に引き続き、液晶、コロイド、生体物質を対象とし、非平衡ゆらぎと構造の関係を調べ、新たな現象を見出すとともに、その理論的考察も行ない物理的解明も進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
本計画は順調に進んでいるので、本年度の交付申請書に沿って研究を行う。問題点はない。
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