研究領域 | ゆらぎと構造の協奏:非平衡系における普遍法則の確立 |
研究課題/領域番号 |
25103008
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
櫻井 建成 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (60353322)
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研究分担者 |
北畑 裕之 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (20378532)
澤井 哲 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (20500367)
石原 秀至 東京大学, 総合文化研究科, 助教 (10401217)
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研究期間 (年度) |
2013-06-28 – 2018-03-31
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キーワード | 非平衡系物理学 / 数理物理 / 生物物理 / 非線形科学 |
研究概要 |
本研究では、反応拡散波と界面変形を伴ったアクティブマターの相互依存性から生み出される動的秩序とそれに由来する機能の普遍的性質の解明を目的としている。ここでは、(1)非生物系では、反応拡散波によって駆動されているアメーバ細胞を模した化学反応系として、Belousov-Zhabotinsky(BZ)反応液滴をベースとする新奇の実験系を構築する。(2)生物系では、アメーバ細胞のリン脂質シグナリングのin vitro再構成系を構築し、実際のアメーバ内の非自明動態との比較検証と理論的考察を行い、変形しながら運動する系の普遍的性質を明らかにすることを目指した。本年度の実績として (1)非生物系では、化学振動反応であるBZ反応溶液の液滴が、内部でのパターン形成と結合して運動する現象について研究を行った。具体的には、BZ反応溶液の表面や、BZ反応溶液と油の界面において、化学波が伝播するときの界面張力の変化をレーザー準弾性散乱により測定した。その結果、気液界面ではほぼ化学波の進行に伴う色の変化と一致して、界面張力が変化することが明らかとなった。 (2)生物系では、細胞性粘菌を用いて、基質面の形状や物性によって膜の伸展を制限し、進行波を観察した。その結果、特に基質面に疎水性素材である PDMS を用いた場合、 PIP3 の局在を起こす細胞がほとんど存在しないこと、また、PDMS 表面の親水化によって、進行波を起こしている細胞の率が増加することが明らかとなった。 以上、研究代表者や分担者は個々の研究テーマに関して発展させつつ、連携を探ってきた。来年度は、非生物系と生物系における定量的測定の相互検証を行い、研究班内での連携を高め、微小空間BZ反応における変形や運動、細胞の多様な運動形態を、理論的な立場から予測・分類することを目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は、生物系、非生物系に分かれて実験と理論を行っている。研究実績の概要にも書いたように、それぞれ研究成果はおおむね申請時に予定したものであった。また、班内共同セミナー等も開き、お互いの研究分野や成果について議論し連携も促進された。来年度以降は、班内の連携を更に強化し、領域内の他班との共同研究へと発展させたい。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度に行った研究を発展的に進めるとともに (1)光感受性BZ反応の実験とアメーバ細胞の定量的測定の相互検証を行う。 (2)アメーバ細胞内で観測されている非自明動態として、チューリングパターン様の定在波や波の分裂パターンなどにも注目し、系の振舞いを抽象化し、本質を抜き出したモデルを構築する。 上記を踏まえ、微小空間BZ反応における変形や運動、細胞の多様形態を、理論的な立場から予測・分類することを目指す。上記実現には、研究代表者と研究分担者、および他班との密接な協調関係による強固な連携体制が不可欠であり、公募班を含めた連携体制の確立を目指す。
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