研究実績の概要 |
本年度は、全体の研究計画の中でも、特に、光による遠隔操作での運動系の構築の課題に集中的に取り組んだ。 具体的には、定常的な可視レーザ照射下で、cmサイズの固形物体に規則的な振り子運動や一方向の回転運動を引き起こさせることに成功した。レーザ照射により固形物体を局所的に加熱し、生じた温度勾配が、界面エネルギーの空間的な勾配を形成しこれが運動の駆動力となっている。このメカニズムを含めて、論文を作成し出版している("Emergence of Pendular and Rotary Motions of a Centimeter-Sized Metallic Sheet under Stationary Photoirradiation", J. Phys. Chem., C, 2018)。これと関連して、光誘起運動系以外の研究も進展している。臨界点近傍の組成の油水に成分流体にレーザ照射することにより、ミクロ液滴が連続的に生成することを見出し研究を進めた。その結果、この現象を幾何学的に非対称な容器形状で観測することにより、一方向の定常的な流体運動が生じる(光誘起流体ポンプ)を明らかにして、論文を出版している("Optical Fluid Pump: Generation of Directional Flow via Microphase Segregation/Homogenization", J. Phys. Chem. Lett., 2018)。さらに、レーザーを水溶液に照射することにより、レーザの光軸方向に流体運動を起こすことが可能であることを見出だし、レーザの照射角度を変えることにより、光の進行方向への流体運動の方向性を逆転できることが、その再現性も含めて確認している。この成果に関しては論文準備中である。
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