研究領域 | 理論と実験の協奏による柔らかな分子系の機能の科学 |
研究課題/領域番号 |
25104004
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
林 重彦 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70402758)
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研究期間 (年度) |
2013-06-28 – 2018-03-31
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キーワード | ハイブリッド QM/MM 法 / 光遺伝学 / 光受容タンパク質 / 電子伝達タンパク質 / 自己組織化分子 / モータータンパク質 / 酵素設計 |
研究概要 |
本年度は、主に以下の研究を行った。1. 微生物型ロドプシンの色変異体の設計、2. cytochrome c (cyt c)の酸化・還元に伴うタンパク質構造変化の解析、3. 両親媒性自己組織化分子の柔軟性の解析、及び 4. F1-ATPase を用いた Kemp 脱離反応触媒活性の設計。以下にそれぞれの詳細を述べる。 1. 微生物型ロドプシンの色変異体の設計 光駆動型プロトンポンプである bacteriorhodopsin(bR)と光開閉チャネルである C1C2 に対して、大きく短波長シフトすることが予想される変異体を理論的に設計した。その際、モデル構造は、QM/MM 自由エネルギー構造最適化法により精密化された。予想された変異体は生化学実験により検証され、100 nm の吸収波長シフトを作り出すことに成功した。 2. cytochrome c (cyt c)の酸化・還元に伴うタンパク質構造変化の解析 cyt c の酸化、及び還元状態のそれぞれの構造を QM/MM 自由エネルギー構造最適化法により決定した。その結果、2つの構造を特徴付けている塩橋構造の違いを再現することに成功した。 3. 両親媒性自己組織化分子の柔軟性の解析 吉沢らにより合成された両親媒性自己組織化分子による自己組織化過程を理論的に解析するために、まず、分子の内部回転座標のポテンシャル曲線を量子化学計算により求めた。その結果、その内部回転座標周りに非常に柔軟な構造変化が可能であることが示された。 4. F1-ATPase を用いた Kemp 脱離反応触媒活性の設計 分子モータータンパク質である F1-ATPase の結合部位で新規な Kemp 脱離反応を触媒する変異体の設計を、分子シミュレーションを用いて行い、いくつかの候補を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
微生物型ロドプシンの色変異体の設計に関しては、大幅な吸収波長シフトを有する色変異体の作成に成功し、当初目的を達成した。Cyt c の構造変化に対しては、困難が予想された金属タンパク質の QM/MM RWFE-SCF 計算が行えるようになり、順調に進展している。両親媒性自己組織化分子の柔軟性の解析については、分子力場の決定がほぼ終了し、次の分子動力学計算への移行へと進展している。 F1-ATPase を用いた Kemp 脱離反応触媒活性の設計については、いくつかの有望な候補が見つかっており、更なる検証へと進展している。
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今後の研究の推進方策 |
微生物型ロドプシンの色変異体設計に関しては、現在までの結果を論文にまとめるとともに、吸収波長シフトの分子機構についての更なる解析を行う。また、cyt c の構造変化については、構造変化の検証を行うべく、まず再現性の確認を行い、その後、構造変化を引き起こすメカニズムを明らかにする。両親媒性自己組織化分子の柔軟性の解析については、分子動力学シミュレーションを行い、自己組織化過程の解析及び会合状態のモデリングを行う。F1-ATPase を用いた Kemp 脱離反応触媒活性の設計については、自由エネルギー構造最適化を行い、さらなる詳細な設計を行う。
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