計画研究
多くの生体分子は共通の構造をもとに多彩な機能を演出しており、例えばロドプシンは共通の構造構築から光センサー、ポンプ、チャネル機能が発現する。進化の中で最適化された固有の機能は固有の構造によるものと考えられがちであるが、私たちはメカニズムを研究する中でロドプシンの機能を転換することにも成功してきた。このような機能転換の達成はタンパク質の構造と機能が柔軟に共役していることを示唆する。本研究課題において我々は、機能の発見・転換・創成をテーマとしてロドプシンやフラビンタンパク質など光応答性タンパク質を対象とした研究を行っている。最終年度となる平成29年度は以下の成果が得られた。ロドプシンの機能転換に関して、前年度、進化を遡る方向の機能転換は限られた変異で達成された一方、進化に沿った方向の機能転換は変異数を増やしても実現しなかった事実を発表した。系統的な赤外分光解析により、ロドプシンの活性中心に存在する強い水素結合を形成した水分子と機能転換との相関が明らかになった。このような水分子はプロトンポンプ機能に必須であることを明らかにしてきたが、クロライドポンプやナトリウムポンプといった新たな機能を獲得しても水分子の水素結合は保存されていたのである。フラビンタンパク質の機能転換に関しても非対称の機能転換を見出したが、A01北尾グループとの共同研究の結果として活性中心の水素結合構造の重要性を明らかにすることができた。機能の発見に関しては、cAMPやcGMPといった環状ヌクレオチドを光で分解する酵素ロドプシンを発見した。機能の創成に関しては、Gタンパク質共役型受容体と微生物型ロドプシンを用いたキメラタンパク質により、光でGsタンパク質を活性化する新規分子を創成することに成功した。これらのタンパク質分子は光操作応用にも期待される。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (20件) (うち国際共著 3件、 査読あり 20件) 学会発表 (98件) (うち国際学会 54件、 招待講演 9件) 備考 (1件)
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