研究領域 | 理論と実験の協奏による柔らかな分子系の機能の科学 |
研究課題/領域番号 |
25104010
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研究機関 | 分子科学研究所 |
研究代表者 |
村橋 哲郎 分子科学研究所, 協奏分子システム研究センター, 教授 (40314380)
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研究期間 (年度) |
2013-06-28 – 2018-03-31
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キーワード | 合成化学 / 錯体化学 / 超分子化学 |
研究実績の概要 |
本研究では、π―共役系不飽和炭化水素類と金属クラスターの間に形成される分子内界面型の多点連続π―配位結合に焦点を当て、その精密構築方法の開発と結合組み替え挙動の解明を進めた。長鎖π―共役系不飽和炭化水素を用いて、金属鎖との連結を試みた結果、5核、7核、8核、10核金属鎖を核数選択的に連結する手法を開発することに成功した。合成した各複合体は、NMRおよび単結晶X線構造解析によりその構造を同定した。一方、結合組み替え挙動についても検討を進め、π―共役系不飽和炭化水素が4核パラジウム鎖に架橋π―配位結合する機構を詳しく調べた。その結果、連続π―配位結合の形成が段階的に構築されることを示す結果を得た。その際、不飽和炭化水素配位子は、4核パラジウム上で連続π―配位結合の結合組み替えを伴う面反転およびスライドを起こすことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度では、拡がりのあるπ―共役系化合物に対して、狙い通りに多核金属錯体を多点連続π―配位結合を介して連結させるための合成技術の確立を目指し、新しく核数選択的にこれを構築する手法を開発できた。また、多点連続π―配位結合の結合組み替え性質についても検討を進め、段階的に進行することを突き止めた。これらの成果の一部は、領域内共同研究による実験と理論の共同研究により挙げたものであり、順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、多点連続π―配位結合の適用範囲を拡大すべく、拡張アレーン類を用いた検討を進めていく。また、複数の連結部を有するオリゴマー構造の構築についても着手しているが、これまでに得られた知見をもとに進めていく。
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