研究領域 | ニュートリノフロンティアの融合と進化 |
研究課題/領域番号 |
25105003
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
久世 正弘 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (00225153)
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研究分担者 |
住吉 孝行 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (30154628)
川崎 健夫 北里大学, 理学部, 教授 (00323999)
末包 文彦 東北大学, ニュートリノ科学研究センター, 准教授 (10196678)
原 俊雄 神戸大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50156486)
蓑輪 眞 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (90126178)
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研究期間 (年度) |
2013-06-28 – 2018-03-31
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キーワード | ニュートリノ / 原子炉 / 素粒子実験 / 放射線、X線、粒子線 / 安全保障 / 国際研究者交流(フランス) |
研究実績の概要 |
(1)本年度でDouble Chooz前置検出器の建設を終了した。日本が担当している光電子増倍管は4~5月にかけて最後の蓋部分への設置を行い、測量を行った。その後検出器を密封し、ドイツグループが液体シンチレータ(液シン)およびバッファオイルの液入れを行った。それに並行して検出器コミッショニングを行い、日本グループ所属のフランス人ポスドクがその指揮を取った。その結果12月までに検出器は完成し、H27年1月から前置・後置両検出器の同時データ収集が始まった。一方、後置検出器のみのデータでの最終測定結果は学術雑誌に掲載された。 (2)東大グループは実機PANDA100のための中性子遮蔽水タンクの設計をした。また、実機のための100本のモジュールと付随する電子回路を完成させた。それに先立ち、64モジュールのPANDA64の試験運転を兼ねて、東京大学宇宙線研究所の乗鞍観測所で夏の雷雲に伴うガンマ線バースト現象を観測し、12例のバーストを見つけた。さらに日本物理学会およびNeutrino2014国際会議(ポスター)で成果を報告した。 (3)東北大グループはナフタレンを導入することで波形弁別能力を改善した大容量のガドリニウム入りの液シン(GdLS)の開発とシリコンオイルベースの液シン(SiLS)の開発を終了した。400リットルの新型原子炉ニュートリノモニターを設計製作し、上で開発したGdLSとSiLSを導入し、完成した。 (4)J-PARC/MLFにおけるステライルニュートリノ探索実験の準備:H26年4~7月、実験予定地に500kgのプラスチックシンチレーターを設置し、ビームオンの状態でバックグラウンドの測定を行った。その結果バックグラウンドは十分低いことを確認し、問題点の洗い出しを行った。この結果は論文として発表され、これを元にして、H26年12月にJ-PARCからstage-1承認を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
メインの研究活動であるDouble Chooz実験は前置検出器の建設を完了し、目標である前置・後置検出器によるデータ収集を開始できた。また、後置検出器のみのデータによるθ13測定のまとめの論文も学術雑誌に発表された。原子炉モニター開発に関してはプラスチックシンチレータ/液体シンチレータ両タイプで検出器の開発が進展した。さらに、ステライルニュートリノ探索実験の準備研究も進展し、バックグラウンド測定を行うことができた。これらの研究活動について学術論文、学会講演を多数発表した。Double Choozでの博士論文はH26年度の日本物理学会若手奨励賞を受賞した。
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今後の研究の推進方策 |
Double Chooz実験は前置・後置検出器双方でのデータの統計量を増やし、系統誤差を大幅に削減したθ13測定結果を出すのを目標とする。このために新しい前置検出器の特性の理解が重要となる。日本グループからも運転エキスパートを出している検出器較正作業(キャリブレーション)も必須となる。原子炉モニターは検出器の性能確認とともに、発電所の再稼働の際に速やかに測定を開始できるよう、電力会社との交渉を継続する。J-PARC/MLFでのステライルニュートリノ実験は、準備段階から本実験実施に向けて測定器設計を行い、本予算申請に繋げる。
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備考 |
日本物理学会若手奨励賞2014年度 Thiago Junqueira De Castro Bezerra, Improvement of θ13 Measurement in the Double Chooz Experiment and the First Effective ... (東北大学 博士論文)
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