研究領域 | ニュートリノフロンティアの融合と進化 |
研究課題/領域番号 |
25105005
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
吉田 滋 千葉大学, 大学院理学研究院, 教授 (00272518)
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研究分担者 |
奥村 公宏 東京大学, 宇宙線研究所, 准教授 (70361657)
間瀬 圭一 千葉大学, 大学院理学研究院, 助教 (80400810)
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研究期間 (年度) |
2013-06-28 – 2018-03-31
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キーワード | ニュートリノ / 宇宙線 / 素粒子実験 / 南極 |
研究実績の概要 |
IceCube 拡張実験用の新型検出器開発は、プロトタイプ第2期検出器製作が終了した。低温化で機能する光学ゲルの組成決定と短波長域での光検出効率の向上はいずれも達成された。地磁気シールドはより簡易に実装できるシート型のものを考案して試験し、実用に耐えうることを確認した。アナログ信号処理では、DC 信号除去のために通常使われるコンデンサーを使う技法が、深氷河環境下での信頼性を担保できないという問題があった。このため小型のトランスフォーマーを開発した。コイルの口径、巻数、芯材の組み合わせを試験し、実用化のめどがたった。これにより個々の構成素子、主要部品の選定・開発は高電圧電源を除いて終了した。量産に耐えうる組み立て工程の検討を開始している。
大気ニュートリノ測定解析は結果を国際会議 (Neutrino 2016)で報告した。大気ミューオンの混入を除去するアルゴリズムはマシンラーニングの手法を採用した。スペクトル測定は forward folding によるモデルパラメータをデータにフィットさせることでエネルギー分解能誤差を考慮した。解析結果として得られた大気ミューオンニュートリノ総流量は、より低エネルギー領域におけるスーパー神岡実験による測定からの外挿と矛盾しない。しかし、K中間子とπ中間子に崩壊する比が標準的な予想よりやや外れており、宇宙線化学組成の影響を考慮した今後の検討が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型検出器の開発はほぼ想定の工程通りに進んでいる。量産化に向けたデザイン・組み立て工程の最適化を進める段階に至っている。
大気ニュートリノ測定については解析を終え、国際会議での報告を行っている。これも当初の予定どおりである。
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今後の研究の推進方策 |
IceCube実験による 100TeV-100PeV領域の高エネルギー宇宙ニュートリノ測定感度を強化する拡張実験用の検出器開発を完遂させる。新型検出器の各構成要素である耐圧ガラス球、光学ゲル、磁場シールド、PMT を最終的なものにするとともに、信号読み出し回路の製作を並行して実施する。量産を見据えたプロトタイプ最終型検出器を製作し、低温動作長期試験に供する。
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