電荷読出し電子回路100トン級検出器実証試験では、検出器が入った低温容器を運転中でも、読出し装置が交換可能なスキームを検証した。結果、開発した電子回路の交換は可能であった。また、日仏等で協力し、電子回路を大型検出器に取り付けた際の雑音量や宇宙線信号を測定し、予想通りの高い信号-雑音比を得た。 増幅回路ではこれまで開発したASICを発展させ、数fCからpCまでの広いダイナミックレンジを持つASICを開発し、基礎性能を評価した。性能評価から設計通りのダイナミックレンジや信号-雑音比を確認した。このASICは、他の信号が遅いTPCに応用が可能であるため、暗黒物質探索実験グループとの協力体制の基、開発を進めた。 大型化のため開発を進めた純化装置や高電圧生成装置についてはCERN100トン級検出器・KEK小型検出器両方で性能検証を進めた。高電圧生成は更に検証が必要だが、LArの純度や形成された電場の理解等、これまで開発した要素技術が必要性能を満たすことを確認した。 ビーム荷電粒子応答試験LArIATでは、TPC読出ワイヤ間隔4㎜データ確認後、5㎜間隔、続けて3㎜間隔の物理ランを行った。このデータは、液体アルゴンTPC検出器の読出数が、実際に見える物理にどう影響するか考察する際重要な役割を果たす(読出数は電子回路予算と比例する。3㎜と5㎜間隔での読出し数は同じ読出面積をカバーする際約70%違い、よって、5㎜で3㎜間隔と同じ物理を抽出できれば、大幅なコスト削減となる)。現在、データ解析中である。 2015~2016年取得データ解析も順調に進んでいる。負電荷π中間子のアルゴン原子との相互作用全断面積解析(2016年に比較し、10倍以上の統計を使った解析)について講演を通じて公表し、また、他のK中間子、陽子、電子の応答も解析が進んでいる。この結果の講演・論文を通じた公表を更に進める予定である。
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