研究領域 | ニュートリノフロンティアの融合と進化 |
研究課題/領域番号 |
25105011
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
北野 龍一郎 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (50543451)
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研究分担者 |
大河内 豊 九州大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (40599990)
伊部 昌宏 東京大学, 宇宙線研究所, 准教授 (50599008)
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研究期間 (年度) |
2013-06-28 – 2018-03-31
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キーワード | 素粒子論 |
研究実績の概要 |
本研究は、ニュートリノ物理を足がかりに素粒子現象論・宇宙論・超弦理論の3つの方向から素粒子・宇宙・時空の背後にある究極理論に迫るものである。 本年度は、新しいバリオン数生成のシナリオや余剰次元のコンパクト化による超対称性の破れのシナリオ、宇宙においてバリオンが触媒として働き相転移を起こす可能性など、多方面の研究で様々な研究結果が得られた。 宇宙線研グループはレントン数が自発的に破れてニュートリノの質量が生成されるシナリオには、マヨロンと呼ばれる南部ゴールドストーン粒子が存在する。宇宙初期において、このマヨロン場が振動をおこし、それを通じて自発的にレプトン数が生成される可能性を指摘し、数値的にそれが宇宙のバリオン数非対称性を説明しうることを示した。 九州大学グループは、超弦理論におけるDブレーンの力学に基づく考察から、ゲージ理論におけるソリトンの生成によって相転移(真空の崩壊)が起りうることを示した。これにより、これまで考えられてきたトンネル効果による真空の崩壊率よりもずっとおおきな崩壊率になりうることを示した。 KEKグループは、超対称性が余剰次元のコンパクトの際に破れるシナリオにおいて、ヒッグス質量がカルツァ=クラインモードの寄与によって大きく補正を受けることを指摘した。これにより、超対称粒子の現れる質量スケールがこれまでの評価よりも小さくなり、LHC実験で完全に検証できることを示した。 他にも、ヒッグス粒子の非標準相互作用によるレプトンフレーバーの破れの効果、インフレーション模型の研究、格子QCDによるアクシオンの研究、LHC実験でヒントが得られている新粒子に関する研究など、様々な研究成果があがっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
素粒子理論の様々な可能性について多方面からの解析により、興味深い結果が得られている。ニュートリノの質量生成機構と宇宙論の関係や、それにとどまらないヒッグス粒子の物理、超弦理論などにおいて独自の結果を得て、順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、様々な可能性を探りつつ、素粒子物理全体像へのアプローチをはかる。特に、新しい暗黒物質の可能性、バリオン数非対称性生成の可能性、フレーバー実験とニュートリノ振動実験の関係性、LHC実験結果を踏まえた大統一理論と陽子崩壊の関係など、多くのテーマに着手する。
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