研究実績の概要 |
本班では、表面金属クラスター触媒(担持金属触媒)や固定化金属錯体(表面金属錯体触媒)を用いた環境浄化及びグリーン有機合成反応をターゲットとし、単結晶モデル表面を用いた先端的ナノ構造解析による原子レベル評価と実触媒の開発を並行して行った。また、情報科学的手法を用いた新規触媒物質探索法を開拓した。 表面金属クラスター触媒においては、サステナブルな炭素源であるCO2やバイオマスを原料とする化学品・燃料合成を、金属/酸化物担体の界面活性化によって合成することを試みた。その結果、PtまたはReナノ粒子上でのCO2やカルボン酸類の還元的官能基変換において、還元相が金属と強く相互作用するLewis酸性酸化物(Nb, Mo, Ti酸化物)を担体に用いた場合に特異的な触媒特性を示すことを見いだした。また、担体として酸化物単結晶を用いたモデル触媒表面による評価を行い、活性化機構を原子レベルで検討した。 表面金属錯体触媒では、構造規整された表面として、特に配位性の有機分子を導入した規則性メソポーラス有機シリカの細孔表面に着目し、鉄、銅、パラジウムなどの種々の金属錯体の固定化を新たに行い、固定化構造の詳細な解析と触媒機能の探索を行った。また、単結晶を用いたモデル触媒表面において、固定化錯体の三次元構造解析を行った。 情報学的手法を用いた新しい触媒物質探索法の試みとして,近年石油代替資源として注目されているCH4の活性化に着目し、解離種の吸着エネルギーを,様々な異種元素をドープした仮想Cu表面に対して網羅的DFT計算により求め,機械学習による予測を行った。 各元素の特徴量(密度,イオン化エネルギー,融解エンタルピー等)を記述子として,CH3,CH2,CH,C,H吸着エネルギーの高速予測が可能であることを示した。今後 安価なCuをベースとしたCH4活性化触媒材料探索の新たな方法論となることが期待される。
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