研究領域 | 原子層科学 |
研究課題/領域番号 |
25107002
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
楠 美智子 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 教授 (10134818)
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研究分担者 |
斉木 幸一朗 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (70143394)
野田 優 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (50312997)
丸山 茂夫 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90209700)
北浦 良 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50394903)
依光 英樹 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00372566)
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研究期間 (年度) |
2013-06-28 – 2018-03-31
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キーワード | 大面積 / SiC熱分解 / 酸化グラフェン / CVD法 / 有機合成法 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、高品質グラフェン・新規原子層物質の合成手法を確立することにあり、得られたサンプルを領域内の他班に積極的に提供し、共同研究を推し進めることにより、原子膜の新たな物性を発見・解明することである。初年度の合成班への予算重点配分によって立ち上げた装置の調整・最適化が進み、着々と各研究分担者の合成技術が進展するとともに、26年度から加わった公募研究との活発な意見交換により重層的効果をもたらしてきた。以下に、合成法で分類された進展状況を示す。 (1)SiC熱分解法により、ミリメートルスケールの低欠陥単結晶グラフェン成長を実現(楠)、ヒドラジン分子の導入により、グラフェンとSiC基板との間の相互作用のデカップルを確認(高井:公募)。 (2)CVD法において、Fe-C混合膜を用い、誘電体/絶縁体基板上にグラフェンを直接形成(体積抵抗率100 μΩ cm)(野田)、エタノールガスを用い、ミリメーターサイズの大面積なグラフェンの成長に成功(丸山)、1段階の直接成長によって、クリーンなWS2/hBN界面を実現(北浦)、WS2における欠陥に補足された局在励起子からの新たな発光(PL)現象を発見(加藤:公募)、へき開グラファイト面への高品質WS2膜の形成(宮田:公募)、 (3)酸化グラフェン溶液から作製したグラフェン電極間への高移動度有機デバイス自動配置に成功(斉木)、酸化グラフェン上の酸素官能基による有機分子、金属イオンの吸着、ナノ粒子の固定化(仁科:公募) (4)有機合成により、近赤外領域の吸収が著しく増強された原子層型二量体分子の合成に成功(依光)、「ボトムアップ型」ビス金属錯体ナノシートの合成・評価に成功(坂本:公募)、グラフェンモデル分子のX線構造解析により平面の大きな歪みを確認(廣戸:公募)。 それぞれのサンプルは他班に提供され、多くに共同研究が開始されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の予算の重点配分により、設備導入が早期に進んだことにより、それぞれの合成技術の開発が効率的に行われ、他班の研究者との共同研究に資するサンプルが準備され、既に多くの研究が開始されていることからも、おおむね順調に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
合成班では、27年度以降、計画班6名、公募班6名、それぞれに連携研究員1名ずつ、総勢14名の体制の中、大きく4手法、(1)SiC熱分解法、(2)CVD法、(3)酸化グラフェン還元法、(4)有機合成法、に分類し、互いに共同体制を組んで行く。これらの手法をもとに、基本的には、グラフェンの高品質化、大面積を実現することを掲げるとともに、重要性が増しているグラフェン以外の新しい原子層物質として、窒化ホウ素(BN)や遷移金属カルコゲナイド(TMDC)の合成、大面積化も探求する。得られたサンプルを物性班、応用班に提供し、最終段階においてのデバイス作製に向け、個々に準備を進めてゆく。 当初計画からの研究経費に関する変更はない。
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